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星を匿す雲

主に歴史漫画、コンシューマゲーム、遺跡巡りについて。基本的にネタバレあり。

【総評】舞うも堕ちるも美しく―歴史系乙女ゲーム『下天の華』【ネタバレなし】

先日下天の華 with 夢灯り 愛蔵版を購入しました。とりあえず本編のみ総評を書きます。ネタバレなしです。
総評を要約すると、さすがは天下のネオロマといった出来で、値段以上の価値はあると思います。歴史好きの方にはぜひともオススメしたい1本です。
www.gamecity.ne.jp


はじめに

『下天の華』の舞台は戦国時代、三職推任から本能寺の変までの約1か月間の安土城です。主人公のくのいちは明智光秀に雇われて光秀の妹姫に化け、城に集まった名だたる武将たちと交流を深めます。やがて主人公は彼らの抱く夢や悲しみに寄り添うようになり、彼らと惹かれ合ってしまう――という筋立てとなっています。
武将の年齢若すぎじゃない? 妻子持ちじゃなかったっけ? 忍者が情に流されていいの? と数々の疑問が浮かびますが、乙女ゲームだからという一言で全てを片付けさせていただきます。

※キャラクターのネタバレあり感想はこちら


トーリー ★★★★☆ 4/5

歴史if物としてみるとなかなか面白い
私は歴史を題材にしたゲームや漫画の一番の肝は、作者が史実をどのように解釈し、改変しているかにあると思っています。本作で特に面白い「改変」は、史実ではとっくの昔に死んでいるはずの織田信行が生きていることと、本能寺の変の真相がちょっと違うことです。
織田信行は史実では20歳そこそこで亡くなっています。なぜ、そんな人物がわざわざ攻略対象として「生かされて」いるのか。織田信行ルートは、その意味を考えながら進めるとかなり感慨深いものがあります。具体的に言うと「の、信行おまえ……っ(泣)」ってなる。全然具体的になってないですねすみません。
後者はストーリーのネタバレになるので詳述は控えるとします。とりあえず、意外な展開にしたなあという感じでした。

キャラクターとの恋愛について
①描写が大変しっかりしている
登場人物の性格もイベントも「これよくあるやつー!」ってのが多いけど、主人公の気持ちや相手の言動が非常に丁寧に表現されているので、ほとんど白けることはありませんでした。テンプレでも中身がちゃんと詰まっていれば楽しめるものだと実感しました。ここらへんは老舗の実力を感じます。
②罪の華エンドが良い
愛蔵版の追加要素。たぶんバッドエンド的な位置づけだと思うんですが、ベストエンドとは全然違う攻略キャラの表情や展開を見られて満足でした。こちらの方がベストエンドより面白いのでは? と思うキャラクターもいました。
③話の流れは全体的にかなり無理がある
当時の価値観や登場人物の立場などからすると「ありえなくね?」と思うことが結構ありました。特に百地ルートは、イベントの量が少ない分粗が目立ちました。くのいちと武将(もしくは忍者)の恋愛という現実的でないものを成就させるためには仕方なかったのでしょうが。
④ボリュームが少ない
個別ルートに入ってからがすごく短いです。ベストエンドも罪の華エンドも。共通ルート中の個別イベントと交流イベントを含めれば実際にはそこまで短くもないのですが、欲を言えば個別ルートの最後の方をより詳しく描いてほしかったです。
⑤糖度は低め
私は「糖度の高い」ものが非常に苦手(例を挙げると遥か3のヒノエレベルでかなり抵抗感がある)ですが、本作は時代柄もあってか特に身体接触が多かったり日常的に口説いてきたりしないため快適でした。糖度の高いのが好きな方には物足りないかもしれません。


キャラクター ★★★★★ 5/5

詳細は別記事で書いたので簡潔にしておきます。
攻略順に関して未プレイの方にオススメしたいのは、最後の2人を百地尚光→織田信行にする(もしくは同時攻略する)ことです。その他はどんな順番でも特に問題ないと思います。
ちなみに公式のキャラ紹介ページにある「オススメ武将診断」、やってみたらF:百地尚光でした。まあ嗜好性(おっさん好き)という意味では合致していますかね。てかこの診断、何気にネタバレしているため、ノーマルエンドでもいいので一度クリアしてからやる方がいいと思います。

主人公
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伊賀忍の中でも、三大上忍に数えられる藤林家の生まれ。
幼い頃に両親を亡くして以来、師匠の指導のもと腕を磨いてきた。
真面目で、くのいちとして常に自らを律している。
明智光秀からの依頼で、安土城に潜入した。
公式キャラクター紹介ページより

感嘆語(~ね、~よ、~な、など)のほとんど入っていない無個性な喋り方が特徴的です。忍者として感情を殺して生きてきたのがよく分かります。
しかし、彼女の奥底には心優しく他者を思いやる気持ちが溢れていて、相手の良いところを見つけたり、悲しみに寄り添ったりするのが得意です。
また、能動的な問題解決力と、安易に諦めたり他人に頼ったりしない精神力も持ち合わせています(忍者だから当然なのかもしれませんが)。
素晴らしい子ですね。乙女ゲーの主人公はかくあるべし。

織田信長
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天下人に限りなく近い、織田家の総大将。
型破りな発想で人心を惹きつけるが、そのぶん敵も数知れず。
傲岸不遜(ごうがんふそん)なカリスマで、生に対して享楽的な思考を持つ。
公式キャラクター紹介ページより

第六天魔王。ベストと罪の華、どちらのエンドもひたすらかっこいい。某雰囲気推理ゲーの模擬刀野郎とはえらい違いだべ。

明智光秀
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信長の腹心で、織田軍では彼に次ぐ位置にいる。主人公の雇い主。
信長にどのような無理難題を命じられても、ひょうひょうと対応する有能な武将。
どこかけだるげな微笑を浮かべており、真意は謎に包まれている。
公式キャラクター紹介ページより

何を考えているのかよく分からない人。この人のルートは主人公の顔芸が光っています。

羽柴秀吉
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信長の家臣。持って生まれた機転で、主に献身している。
女性好きとしても有名で、主人公に対しても何かと世話を焼く。
どこか三枚目で憎めない性格。お人好しで周囲にもよく気がつく。
公式キャラクター紹介ページより

女好きの遊び人だけど意外と色々考えているタイプ。
主人公が彼と会う度に「なんだこの馴れ馴れしい男は(怒)」みたいなコメントをするので面白いです。

徳川家康
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客人として、安土城に滞在している青年。
争いごとをきらい、決して目立たないよう静かに過ごす。
女性が苦手で、すぐに逃げ出してしまう「韋駄天の君」。
公式キャラクター紹介ページより

まさかの女性恐怖症。攻略キャラの中では一番成長すると思います。

森蘭丸
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幼少の頃から信長に仕えてきた側近。
彼に害をなす者には迷いなく向かっていき、いつも城内を警戒している。
主君にふさわしくあるよう、努力をおこたらない。
同世代の主人公とは、年相応の青年らしく打ちとける。
公式キャラクター紹介ページより

織田信長の忠犬あるいは狂犬。主人公と仲良くなると主人公の忠犬にもなります(笑)。

百地尚光
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渋く、たそがれた雰囲気を漂わせる伊賀の上忍。
忍びとしての腕前は一流で、主人公をくのいちとして育てあげた。
数年前、任務に出たきり、行方不明になっている。
公式キャラクター紹介ページより

ウホッいいおっさん。イベントが少ないのが無念の極みです。
どうでもいいけどキャラ紹介ページのURL、末尾がshisho.htmlになってるw naomitsu.htmlにしてあげてww

織田信行
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織田信長の弟。柔和で気品のある、好青年。
他地方との交渉役として、織田家のために尽力している。
一時的に安土城に滞在しており、客人である主人公を気遣ってくれる。
公式キャラクター紹介ページより

優しいけど陰のある人。
ダントツでオススメのキャラです。前述の通り史実では既に死亡しているはずの彼がどのような活躍をするか、お楽しみに!


システム ★★★☆☆ 3/5

イベント
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共通ルートには、共通イベント個別イベント交流イベントの3種類があります。
遥かと同じく、マップ画面にそれぞれのアイコンが出てきて、その中から見たいものを選択する形式になっています。最近の乙女ゲーは圧倒的に紙芝居形式のものが多いので、新鮮に思う方が多いのではないでしょうか。
交流イベントは、自分の好きなキャラを選んで色々な話題を振って縁(好感度)を深めるものです。恋華シリーズに少しだけ似ていますね(あれほどがっつりと歴史の知識を叩き込まれることはないけど(笑))。夜だけキャラクターを「誘惑」できることをひとつの目玉にしているようです。選択肢はこんな感じ。
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結構地味です。私の中では完全に夜這いをかけるイメージだったのでびくびくしていましたが安心しました。それにしても、微妙な仕草ひとつでも相手に与える印象は随分変わるものなんですね。勉強になります。

スキップ機能
既読のイベントを選択肢以外全部、瞬時にスキップできます。すごく便利。2周目以降、私のようにボイスを聞き飛ばす人であれば1ルート1時間程度で終われると思います。

アクション要素
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トーリーのところどころで主人公が戦ったりするため、簡単なアクション要素(十字ボタンと△□○×ボタンを指示通りに押す)が挟み込まれます。失敗するとときどきバッドエンドに直行します。
正直ダルいです。しかし、一部のイベント以外は一度成功しておけばもう一度見る際には成功したか失敗したかを選べるので、そこまでストレスにはならないです。

変化の術
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主人公は変化の術が得意ということで明智光秀に雇われました。そのため、主人公の変化の術が必要な場面が時折出てきて、変化する姿を選択することになります。正解を選ばないと成果なしやバッドエンドになることがほとんどです。
どれを選んでも基本シリアスか萌え?路線ですが、「お地蔵様」に変化したときの周囲の反応は面白いです(笑)。
でもこれはなぜかアクションのようなスキップ機能が付いてないんですよね~。少々テンポが悪いですがイライラするほどではないです。


グラフィック、BGM、音声、文章 ★★★★★ 5/5

私はこれらに重きを置かない方ですが、やはりきちんとしている方がストレスなくプレイできます。
そういう意味で本作は申し分ない完成度の高さでした。上品で隙がなく、非常に丹念に作られているのが見て取れます。
百地さんの声がちょっと単調な気もしたけど、まあこの人忍者だしと思えばどうということはありません。


好きなエンド ベスト3

詳しくは別記事にて。やはり、織田兄弟は強い(笑)。

第1位 織田信行 罪の華エンド
救いのなさがたまらない。

第2位 織田信行 ベストエンド
遥か的なカタルシスを感じられるエンド。

第3位 織田信長 ベストエンド
勇ましい気分になれます。



総評は以上です。
歴史好きの方、特に戦国時代の好きな方はぜひプレイしてみてください!
キャラクターの詳しい感想(本編のみ)も書いてみました信行の分だけめっちゃ長いですが気が向いたらお読みください。


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