星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

【感想】ゴールデンカムイ17巻:罪悪感は山猫を救うか?

皆様こんにちは。赤城です。

ゴールデンカムイ』17巻の感想書きました。

※他の巻の感想はページ下部の「関連記事一覧」からご覧いただけます。




各話感想

気になった場面や台詞をだいたい箇条書きにしてコメントを付けていく形式です。全体を通しての感想は最後の方に書いてあります。



前巻までのおさらい

相変わらずテキトーすぎるクオリティ。なぜ谷垣だけしっかり描き込まれているのか。を感じます。



第161話 カムイ レンカイネ

  • おじさんを救うために無防備に進み出るキロランケ
    今こうして付け狙われているのは全て彼の起こした爆殺事件のせいなので、きっと責任を感じてるんでしょうね。キロランケは目的のために誰でも見殺しにできる人ではなさそうですから。むしろ人並み以上に人情のある方なのではないでしょうか。


  • 守備隊のリーダーのおっさんが撃たれる
    木の陰から出てしまったのは迂闊でしたねえ。まあ、まさか銃撃の達人が一行のに紛れているとは思わなかったからでしょうが。



第162話 狙撃手の条件

  • 良い狙撃手の条件
    うんうん、尾形にぴったり当てはまるなあ。


  • 仲間たちを「エサ」呼ばわりするヴァシリ
    そういえば尾形も谷垣を追っていたとき二階堂をエサにしてたっけなあ、と思いました。良い狙撃手同士、考えることは同じなのでしょうね。


  • 爆弾が爆発し守備隊の2人の身体が吹き飛ぶ
    突然のグロに阿鼻叫喚しました。キロちゃん、敵に対しては容赦ないね。


  • 発見されてしまう尾形
    まずいぞ……いや、これも作戦なのか!?



第163話 指名手配書

  • 皇帝を暗殺する「ユルバルス」とウイルク
    ウイルク、すごい度胸ありますね。ちょっとでもタイミングを間違えれば死んでたでしょう。ていうか皇帝暗殺に臨んでも極めて平静な顔をしているのに若干の恐怖さえ感じます。

    ところで、なぜユルバルスはキロランケという偽名を使っているのにウイルクはウイルクのままなのでしょうか……?


  • ガリポリの戦い」は狙撃手対決の舞台となった
    あ、狙撃手対決の映画なら観たことあります、『スターリングラード』っていうやつ。狙撃戦マジかっけー! 戦争マジグロいー! って感じの映画でした。

    第二次世界大戦中のソ連側の狙撃手ヴァシリ・ザイツェフが主人公になっています。あれ、もしかしてこの守備隊のヴァシリってヴァシリ・ザイツェフがモデル?


  • 尾形の罠にはまるヴァシリ
    どうやら尾形の方が一枚上手だったようです。

    遺体を使ったカカシの雑さや完全に消えてない足跡など、カモフラージュの仕方があまりに杜撰すぎることに気づかなかった様子。きっとヴァシリも一晩明かしたことで判断力が低下していたのだろうと思います。

    でも、その杜撰さもわざとで、本当にウイルタの棺の中にいたかもしれないし、これはもう究極の心理戦ですね。なんか人狼みたいです。



第164話 悪兆

  • 尾形の弟、勇作の幻影が現れる
    うぎゃあああ!!! 頭から血を垂れ流している! 悪夢だ!!

    今このタイミングで現れたのは尾形の体調がいつになく悪いからだと考えられす。体調が悪いときに頭に思い浮かぶのって、だいたい過去の重苦しい経験だったりしませんか。

    なぜ勇作が尾形の前に現れたのかについては、少し前に友人と予想し合ったところ、友人が「尾形の罪悪感の現れ」と言っていました。尾形にも罪悪感ってものがあったのか、と最近のサイコパス尾形に慣れきっていた私は思ってしまったわけですが、以前、私は尾形のサイコパスは先天性ではなく親に愛されなかったが故の後天性なのではないかと推測していました。勇作の幻影は、友人の言う通り、尾形のサイコパスでない部分が生み出した罪悪感なのかもしれません。


  • 弟を遊郭に誘う尾形
    うわぁ。遊郭が一般的な娯楽だったとは言え、勇作さんは潔癖な優等生っぽいから絶対拒否するでしょ。嫌われたくてわざとやってるのかな、これ。「男兄弟というのは~」って、ことあるごとに兄様呼ばわりしてくる勇作に対する当てつけに聞こえるし。

    それとも自分をワンコのように慕ってくる弟ならごり押しでどうにかなると思ったのでしょうか。いや、尾形はそこまで人の気持ちに鈍感じゃないですよね。


  • ヤイスマウカレとサマの儀式のコラボ
    北方民族、尾形の病気を治すためにまさかの夢の共演。アシパさんと白石がノリノリでヨードプをシャカシャカしているのがウケる。


  • 遊郭の一件には鶴見が関わっていた
    う~ん、鶴見のあの話しぶりだと、勇作を鶴見一味に引き入れることを提案したのは鶴見ではなく尾形なのでしょうか?

    鶴見が提案したのなら「だといいが…」なんて自信なさげなことは言わないと思うんです。それに、あれだけ正義感が強いと仲間にするのは無理なので、鶴見だったら初っ端から諦めるのではないでしょうか。

    でも、それならなぜ尾形が勇作を引き入れようと提案したのかが謎すぎて怖い。勇作だけ両親から愛されて穢れのないままでいるのが許せなかったとか?


  • 尾形たらしこんでみせましょう
    いやいや、無理でしょ。あなたは狙撃の腕前は一流ですが話術はからっきしじゃないですか。


  • アシその呪われた金塊は本当に見つけるべきか それとも闇に葬り去るべきなのか
    おおおお、アシパさんかっこいい……!



第165話 旗手

  • 勇作を殺さない方向でいくと言う鶴見
    そもそもなぜ殺そうとしているんだ?

    近い将来、花沢中将の自刃(実は殺されたんだけど)により遺児である尾形を担ぎ上げて反乱ののろし上げる予定だったけど、皆の心を掴めているなら勇作でもいいだろうと思ったから? それが尾形には当然気に入らなくて、のちの勇作殺害に至った? う~ん、よく分からないな。


  • 下品な顔をしている白石
    白石に対する風当たりの激しさよw 白石もおっぱいジロジロ見んなよw


  • 尾形勇作殿が殺すのを見てみたい
    これはやはり、勇作だけ穢れのない純真なままでいるのが許せないって感じですかね。


  • 花沢中将の言いつけ
    正直、わが子かわいさゆえのこじつけでないかと思うのですが。罪悪感の生じてしまった人間は皆を鼓舞する真の偶像にはなりえないから、勇作は不殺を貫くべきという論理ですね。筋が通っているとは感じます。


  • 勇作兄様はけしてそんな人じゃない きっと分かる日が来ます
    勇作さん、本当にいい人だ……! あなたの言う通りですよ。きっと尾形にも救いがもたらされる日が来ると私は信じています。

    でも、勇作が本当にいい人だからこそ尾形は彼を殺したのかもしれない、と思います。だって、勇作がこういう性格になったのは両親にたっぷり愛されたおかげ。それは全て、花沢中将が尾形母と尾形を顧みなくなったことの裏返しなのです。尾形は勇作のことが妬ましい、あるいは憎かったんじゃないでしょうか。

    あとは、自分が肉親である勇作を殺しても罪悪感を感じることがなければ、勇作の言ったことは嘘であると証明できると考えたのかもしれません。確かに、殺したそのときは罪悪感を覚えずに済みました。花沢中将を殺したときもそんなに感情は動かなかったでしょう。でも、今、罪悪感は尾形の無意識から浮かび上がってきました。勇作の言葉は真実だったのです。


  • アシ尾形 目が覚めたか
    この構図も意味深です。私としては、アシパさんが勇作の後を継いで尾形に救いをもたらすことを示唆している、と捉えたいです。



第166話 頼み

  • 占い結果:後方から人が来る
    杉元たちのことですね!


  • キロランケ一行と別れないことを選択した白石
    何気にすごくいい場面。白石が自分の身の安全よりも杉元とアシパさんとの情を優先させることを決意した瞬間です。いや~、成長したなあ。最初の頃のチンピラっぷりが嘘みたいです。


  • 本当の占い結果:後方から人が来て誰か死ぬ
    ヒエッ死亡フラグが乱立しているキロランケ尾形月島あたりか? 誰にも死んでほしくないです。


  • 杉元たちの犬橇がはぐれる
    場面は一転、杉元チームへ。雪の中ってホント方向感覚狂うんだよね。雪山での遭難事故の記録を読むとよく分かります。八甲田山とか。



第167話 白くらみ

  • 樺太犬の掛け布団
    めちゃくちゃ羨ましい


  • 鯉登は月島が拭いてるのを見てるだけ
    安定のおぼっちゃま。手伝えよw


  • アシパの幻影と重なる燈台の光
    やはり杉元にとってアシパさんは救いの象徴なのですね~。


  • 前をうろちょろする鯉登
    今回ばかりはグッジョブだ、鯉登。杉元たちの判断の助けになったぞ。



第168話 燈台守の老夫婦

  • 杉元たちが必死で燈台までやってきたら鯉登が中で呑気に紅茶とお菓子を味わっている
    さすが鯉登、歪みない空気の読めなさ。スーシュカ私も食べたいです。


  • 金槌を手にくっつけてしまった鯉登におしっこをかけようとする杉元
    完全に嫌がらせだろ。結局おしっこはかけられたのか、そうじゃないのか。一部は鯉登のコートにかかってますね。


  • 燈台守の夫婦の過去
    連れ去られた娘の帰りを待つためにずっと燈台守を続けている。泣ける話じゃないですか。そのおかげで杉元たちも助かったんですよね。

    月島の表情が……いご草ちゃんのことを思い出しているんでしょうか。娘を助けるために無理をして占いのフラグ回収なんてことならなければいいのですが。


  • 娘の写真の代わりに預けられたのは杉元の変顔写真
    なぜあえてそれをチョイスした!?w もっと男前なのあるだろ。そりゃ燈台守の夫婦も「うわぁ」って顔になるわ。あの写真屋、こんな写真も撮ってたのかよ。



第169話 メコオヤシ

  • 泥棒猫は撃ち殺せ
    泥棒猫=杉元からアシパさんという救いの光を奪った尾形、ですかね。その通りになりそうで怖い。


  • メコオヤシがタバコ入れを食べたか気にするチカパシとアシ
    なぜそんなに頑なにタバコ入れに執着するんだ。


  • 皇帝暗殺の首謀者、ソフィア・ゴールデンハンド
    迫力のある肉体からおじさんかと思ったらおばさんだった。強そう。後ろからなんかオーラ出てるもん。



第170話 亜港監獄の女囚

  • アシ杉元のオソマじゃなきゃ嫌だッ!
    著しく誤解を生む一言である。


  • 初めてヒンナと言う尾形
    チタタのときもそうだったけど、アシパさんにしか聞こえてないのはわざとなのか。わざとならどうしてなのか。

    金塊争奪戦で優位に立てるよう彼女の心を掴んでおきたい+彼女に対してわずかな好意(恋愛感情ではない)が湧いてるから、気を惹きたくてやっているのだと私は思っています。杉元みたいに本当にアイヌの慣習に敬意を払っているわけではないでしょう。

    キロランケと白石の最高に興味なさそうな顔がシュールです。


  • 亜港における囚人たちの扱われ方
    男女で差がありすぎる。女尊男卑、いや男尊女卑? 召使いか花嫁になることを強制されるのもそれはそれで地獄だと思います。どうでもいいけど花嫁を探してるときのおじさんたちの表情がかわいい


  • ソフィア(現在)
    時の流れとは……残酷なものだね……。コーカソイドは若い頃はスタイル抜群だけど、年を取ると太っちゃう人が多いよねえ。いやあそれにしてもこんなにゴツくなるもんか?w キロランケが再会したときに卒倒しそう


  • スヴェトラーナもなぜか亜港にいる
    連れ去られた後、犯罪の片棒でも担がされたのか? そもそもスヴェトラーナが連れ去られたのは無理矢理もしくは騙されたためか、それとも自ら望んでだったのか? ここらへんも今後明らかになるのが楽しみです。


  • キロランケあれが来れば脱獄の成功に条件が揃う
    「あれ」っていったいなんなの? 気になるんだけど! 引きがうまいぜ、ゴールデンカムイ



次巻予告

うおぉぉぉぉぉ!! 門倉キラウシが大活躍する阿寒湖編だとぉぉ!!? 16巻でラウシが出てきたのは伏線だったのか。私、若い男よりも海千山千のおじさまやおじいさまの方が断然好物なのです! ぜひとも心ゆくまで描いてください先生!!!

ちなみに阿寒湖はこないだ行ってきたばかりなので嬉しいです。きっとマリモが出てくるに違いない。あと温泉も。




全体を通しての感想

かなりシリアス寄りの話ばかりでしたね……小ネタはちょこちょこ挟まれてるけどなんか全体に漂う雰囲気が重かった……。私はシリアスよりもギャグが好きなので、若干つらかったです。面白かったですけど。


さて、17巻は尾形に焦点が当てられた巻だったように思いました。分かりやすく表紙も尾形ですね。

尾形の真意は相変わらずよく分からないのですが(特に勇作を鶴見一味に引き入れようとしていたっぽいあたり)、彼にも、勇作の幻影の象徴する「罪悪感」+アシパさんという救いの可能性があることが判明し、少しほっとしました。まあ、その救いの手が彼に届くかはまだ分かりませんけど。


キロランケとウイルクの過去も徐々に明かされようとしています。それに伴い、ただでさえイケメンなアシパさんがさらにイケメンになりました。全てを知ったとき彼女はどんな道を選択するのでしょうか。

亜港の2人の女囚、ソフィアとスヴェトラーナが物語にどう絡んでくるか、そしてスヴェトラーナと奇妙な縁を持った杉元たちキロランケたちの作戦にどう関わってくるかも見逃せません。

18巻も血沸き胸躍る展開になることを期待しております。








感想は以上です! 最後までお読みくださりありがとうございました。

18巻の感想はこちらの記事に書きました。

1~4巻、14~16巻の感想も書いています。以下の「関連記事一覧」よりご覧ください。








※この文章は、赤城みみる(Twitter ID i14wander、はてなブログID i14wander)により執筆され、赤城みみるの所有するブログ「星を匿す雲」(http://cqs4live.hateblo.jp/)(http://cqs4live.hateblo.jp/archive)に掲載されているものです。著作権法32条で定められた要件を満たさず行われる転載は、著作権法21条に違反します。




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