星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

【感想】ゴールデンカムイ3巻:土方歳三の新撰組再建計画

皆様こんにちは。赤城です。

ゴールデンカムイ』3巻の感想書きました。


記事を書いている時点で、14巻まで読了済みです。改めて読み直して感想を書いています。したがって、14巻までの軽微なネタバレありです。ご注意ください。

※他の巻の感想はページ下部の「関連記事一覧」からご覧いただけます。




3巻の感想

気になった場面や台詞を箇条書きにしてコメントを付けていく形式です。



第18話 救出作戦

  • アシあいつの強さは 恐怖に支配されない心だ
    だよね~。杉元すごいよね。嫌味のない強キャラ感がある。


  • わざと音を立てて戦っていた
    しかも、杉元は猪突猛進というわけではなく頭も良いです。自分の力だけでなんとかしようとはまるで考えていない。最大限その場の状況を利用して勝ちを狙いにいきます。こりゃあ男からも女からもモテますわ(確信)。


  • 脱獄王が仲間になった
    やったね! ギャグ要員が増えたよ!


  • 杉元妖怪?
    得体の知れないものには普通に怯えて顔芸を披露する。そこがまたいい。


  • 腸が出ている杉元
    いやいや、絶対フェイクだろこんなん、と誰もが思ったことでしょう。



第19話 駆ける

  • 二階堂の腸をフェイクに利用した杉元
    具体的に想像したらちょっとオエーッてなってしまいました。皮を剥ぐのとはまた違うグロさを感じます。


  • アシパが弓を放つ~鶴見が銃を構える
    構図が綺麗。動きもすごい迫力があります。


  • 杉元たちに刺青を集めさせると言う鶴見
    なるほど。漁夫の利を得ようとしているわけか。これ以降はわざと泳がせてる状態なのですね。


  • 津山(鶴見所持)の刺青の漢字
    歩、暗、呂、地。


  • アシパにストゥでぶん殴られる杉元
    感動の再会にはやっぱりならなかったww このコマも地味に動きが良い。アシパさんめちゃくちゃ怒ってるw



第20話 喰い違い

  • すんなり射殺される馬
    この世界は残酷だ(笑)。


  • 杉元の顔の馬肉を狙うレタ
    シリアスなシーンの背景にもギャグを入れるこのサービス精神よ。


  • アシ私を子供扱いして相棒として信用せず…(略)
    子供扱いというより、大切なものをたくさん持っている、未来のある若者を巻き込みたくなかったのでしょうね。

    杉元は結核で家族と死に別れ、梅ちゃんを寅次に取られ、日露戦争で寅次をも失った挙げ句に人殺しとしてのトラウマを植え付けられています。まさに天涯孤独。アシパさんとは正反対の境遇にあるのです。

    ところで、今回、杉元は迷惑をかけまいと思ってアシパさんのところを抜け出してきたのに、結局彼女に助けられました。この展開からは、彼らが一方的なヒーロー・ヒロインの関係性に落ち込むことなく、互いを対等に支え合って成長していくことを予見できるように思います。


  • 桜鍋に味噌が入っていると知ったアシ
    あの美少女がどうしたらこんなお地蔵様の妖怪みたいな顔になるだ。


  • 大ゴマを大胆に使って演出するアシパのオソマ克服の瞬間
    ねえ、これいったい何漫画なのw


  • アシオソマおいしい
    いたいけな少女に変態みたいなこと言わせてんじゃねーよww 杉元もホロリとするなww



第21話 亡霊

  • 土方生き残りたくば死人になれ
    アシパさん曰く、杉元も死神にギリギリまで近づくから強いんですよね。この2人、似ている。


  • 牛山の「高い高い」
    普通は上に放り投げないよ? 知ってる?(クソリプ


  • 渋川一味を皆殺しにする土方
    流れるような剣さばきと銃撃! このじいさんマジでカッケーー!! 惚れ惚れしちゃう。


  • 永倉土方さん…あなたは死に場所が欲しいんじゃないのかね?
    土方は直接答えてはいないけど、たぶんその通りなんでしょう。本来箱館戦争で死ぬはずだったところを、犬童に変に生かされてたわけだから。

    どでかい死亡フラグです。もし蝦夷地独立を果たせなくても、自分とよく似ている杉元と殺り合って致命傷食らって満足して死ぬ、って展開になりそう。ちなみに永倉にはそれを見届ける役割があると思いますが、史実では彼が亡くなるのは1915年なので、まだだいぶ猶予がありますね。


  • 土方こいつは近藤さんの器じゃなかったな…
    牛山の言う通り、第二の新撰組を作りたいのかなこの人。

    いや~それにしても渋川は結構最初から違うと思うけど。この漫画のキャラでその器にふさわしい人っているのでしょうか? 近藤といえばリーダーシップがあって人情に厚くてめっぽう腕が立つってイメージが……あっ! アシパさんじゃん!


  • 蝦夷地独立を望むアイヌの存在をほのめかす土方
    鶴見があくまで和人中心で北海道を手に入れることを目指している一方、土方はアイヌをけしかけて北海道独立を目指すのですね。

    あ~、もうこれ近藤の器+独立を目指すアイヌ=アシパさんって図式だよ。間違いないよ。



第22話 伝説の熊撃ち

  • 杉元苦いんじゃん 苦いんじゃん
    思いっきりバカにしてるww 日頃何かと優位に立たれてる恨みを晴らしてるぞこいつ。


  • 水もサルナシも手放さないアシ
    ひどい顔面崩壊を見た(褒め言葉)。『進撃の巨人』の巨人やゲームの『青鬼』を連想させる顔です。


  • 杉元ストゥ乱用しすぎじゃない?
    ストゥの乱用は決して許されていないのにw さすがアシパさん、新しい時代のアイヌの女!


  • 二瓶鉄造登場
    ヒグマと向き合ってるときの安心感が段違い。杉元や玉田はまさに命懸けって感じだったけど、二瓶にはいい意味で必死さがない。



第23話 猟師の魂

  • 扉絵:雪の上で手足を動かす二瓶
    ゴールデンカムイ他作品のオマージュが豊富と聞いたことがあります。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの人体図でしょうか? 他に元ネタあったらすいません。
    Da Vinci Vitruve Luc Viatour


  • 猟師の魂が勃起する!!
    で、出たー! ゴールデンカムイを象徴する言葉として一時期やたらフィーチャーされてた単語だー! 実際二瓶と谷垣くらいしか使わないけど。


  • 杉元が鹿の味が落ちるのを心配していると勘違いするアシ
    さすがアシパさんやで。全くブレねぇ。


  • クワエチャ
    うわー、いいなーっ! うまく使いこなせたらめちゃくちゃ気持ちよさそう!


  • ニヘイゴハン
    素材の味をそのまま生かした野性味溢れる味わいッ! 精力が燃え滾るッ!!
    血の腸詰めはブラッドソーセージってやつですね。私も一度試したことがありますが、血生臭すぎて最後まで食べきれなかった記憶が。


  • 二瓶狼を獲ったら毛皮を手土産に故郷へ帰れ
    あれ、二瓶って意外といい人……? という感じでせっかくじんわり来そうだったのに、ラストのコマで勃起ってサリミナル入れんなよ台無しだよw



第24話 遠吠え

  • アシ食べるなよ? それは食べちゃダメなオソマ
    アシパさんは杉元を赤ん坊か何かだと思っているのかw オソマを放り投げる杉元の顔w


  • 杉元こいつは俺だ…
    銃弾を受けて弱りきっても懸命に生きようとする鹿を、戦争でボロボロになっても戦い続ける自分と重ね合わせている。
    いくら不死身と呼ばれても、心の傷は自分では癒せないのですね。


  • アシ鹿が生き抜いた価値は消えたりしない
    アシパさん、遠回しだけどすごく力強く杉元を励ましています。杉元もだいぶ救われた表情をしています。よかったね杉元。

    このようにアシパさんと支え合って旅をすることで、杉元は過去に受けた心の傷を癒していくのだと思います。



第25話 ユ

  • 生の肝臓を差し出され、食べる杉元
    とても不服そうな顔をしているw そしてそんな場面にもすかさず肝臓の味についての豆知識が挿入される。ためになります。私も狩りをするときは注意しようっと。


  • 「洗いっこ」の提案
    いきなりBLが始まるのかと思って身構えましたが、狼に気取られるから匂いを落としたかったのですね。


  • 杉元なんだ白石か
    大ゴマと集中線の無駄遣い(笑)。なんで寝転がってんのお前。


  • 杉元の含みのある笑顔からの脳と肺の饗宴タイム
    杉元と白石のなんとも形容しがたい表情がツボに入ります。特に、肺に食らいつく杉元の死んだ目が大変面白い。ねえ今どんな気持ち?


  • 杉元もし俺が死んだら アシパさんだけは俺を忘れないでいてくれるかい?
    このコマの杉元には、さしものイケメン絶許マンの私もちょっとドキッとしてしまいました。そんな切なことを言って土方みたいな死亡フラグを立てないでくれ。


  • アシ死ぬな杉元ッ!!
    せっかくいいシーンなのに顔がやばいwww


  • クチャを真顔で突き破るアシ
    誰かツッコんでやれよw


  • 杉元きん……かい?白石忘れてんじゃねえよオイ!!
    ダメだこいつ完全に酔っ払ってる。この鹿肉の宴、ギャグのテンポが最高です。


  • 二瓶鉄造の刺青の漢字
    蕗、鎬、仕、華、砂、音、(1字判読不能)。



第26話 山の掟

  • 谷垣その入れ墨…あんたも囚人だったのか!!
    かなり衝撃を受けているようです。自分の心を救ってくれた恩人が、上官の追う入れ墨の囚人だったのだから無理もありません。


  • 二瓶の過去と理想の最期
    獲物を横取りしようとした男たちをひとりずつ追い詰めて撲殺し、最後の一人は警官の制止を振り切って扼殺(?)、挙句風葬的な感じで死にたいから脱獄。ぶっ飛んでるなあ。でも嫌いじゃないぜそういうの。


  • クチャの屋根を食わされる白石
    あまり理由のない暴力が白石を襲う。ばああああああ(笑)。


  • 杉元来た……金塊の手がかり……!!
    すげー悪い顔してる。レタよりも二瓶狩りだぜ感がビシバシ出てる。


  • 二瓶もはやこの駄犬は湯たんぽ代わりにしかならん
    湯たんぽキター! ぜひ湯たんぽ専用犬として我が家に来てほしい。抱きしめてもふもふしたい。



第27話 殺しの匂い

  • 扉絵:白石の装備
    杉元とアシパさんの扉絵での装備解説と比べると色々と悪意を感じる(笑)。まず表情とポーズが笑えるし、持ち物が飴だけってこたぁねえだろ。銃弾とかやすりとか隠し持ってんだろ。


  • 体臭と木化けの話
    よく「誰かの視線を感じる」とか「誰もいないはずなのに人の気配がある」とかいう話がありますが、あれも二瓶の理論に従えば、誰かの強い感情により発せられている体臭を本能的に嗅ぎ取っているのかもしれません。杉元は殺気隠すの下手そうだな~(笑)。


  • 杉元俺は不死身だぜ
    完全に悪人面。普段の優しい杉元とのギャップに痺れる。



全体を通しての感想

箇条書きで拾いきれなかったことやちょっとした考察などを書いていきます。


アシパと杉元の信頼関係が一歩前進

第七師団からの杉元救出~桜鍋と、鹿の追跡~鹿肉の宴を通して、アシパさんと杉元がかなり仲良くなりました。互いを大切な相棒として意識して、心を許し始めています。

今後はこの信頼関係が一層強まった上で、アシパさんは淡い恋心を、杉元はモンペ属性を獲得していくわけです。すごく魅力的な関係性だと思います。


第三の陣営、土方の顕現

この巻では、杉元チーム、鶴見チームに続く第三の陣営を率いる土方歳三の目的が明らかになりました。

アイヌをけしかけて第二の新撰組を作り、思う存分戦って死ぬ。って感じですかね。さらに、14巻の描写から考えると、そのリーダーにはアシパさんを据えるつもりです。

鶴見と違って土方はあまり裏がない気がします。途中のプロセスで策を弄することはあるけれども、少なくとも最終的な目標ははっきりここで示されていると考えています、私は。


土方と杉元の相似

土方と杉元が似通っていることを示唆する場面もありました。具体的には、戦いに臨むとき、土方は「死人になり」、杉元は「死神にギリギリまで近づく」と、ほぼ同じことをやっいる(杉元のはアシパさんの見立てですが)。

後の巻の話になりますが、13巻124話でも、彼らがよく似ていると指摘している人物がいます。

加えて、14巻まで通して読んで思ったこと。本来、土方と杉元はどちらもリーダーの補佐役タイプなのではないでしょうか。土方は土方チームの中でやむをえずリーダー役を担っているので分かりづらいですが、元は新撰組の副隊長です。杉元はアシパさんと一緒に行動しているときはあまり出しゃばらず、彼女をサポートして動くことが多いです。

加えて、彼らにはいずれもリーダーとして大切に思っている(た)人物がいます。土方は近藤、杉元はアシパさんです。

これらはもう明らかに何かのフラグにしか思えません。

前述したように、そのうち土方は杉元と戦って死ぬのかもしれません。土方は近藤に代わる人物をついに見つけられず(アシパさんを仲間にできず)、アシパさんという希望を戴く杉元に気迫で負ける、みたいな。


アシパのキャラ造形が秀逸

3巻まで改めて読んでみて、本作の主人公のひとりであるアシパさんのキャラクターは、さまざまな面で秀逸であると思いました。殊に、並み居る男性キャラたちに混じっていても全く違和感がないのが素晴らしい。

一般に、男性が中心となって消費するコンテンツでは、子供や女性には、大人の男性のサポーターとしての役割を持たせたり、体力面や精神面の不安定さを描いて弱々しさを印象付けたりするなどの傾向があります。あとは、女性の場合は謎のお色気シーンで容姿を鑑賞の対象にしたりとか。

なんというか、対等の存在と認識されておらず、別の生き物になっている気がするのです。まー私が穿った見方をしているだけかもしれませんし、そのような描き方を否定するつもりもないですが。

しかし、本作のアシパさんは、いささかも違和感なく、他の主要キャラと同レベルの活躍ぶりを見せてくれます。

その理由は、第一に、彼女の強さにあります。確かに、彼女の腕力は他のキャラに比べれば劣るかもしれませんが、それを補って余りある胆力と知恵と優しさを持っています。そしてそれらのポテンシャルを存分に発揮して、杉元たちに料理を振舞って仲良くなったり、彼らを窮地から救ったりします(3巻でいうと19話のように)。物語ヒロイン的な役割に陥ることなく、他の主要キャラと対等に渡り合うことができるのです。

第二に、杉元たちが、子供だから、女性だから、アイヌだから、などと理由を付けた特別扱いをあまりしないのも大きいです。まあ杉元はすごいモンペですけど、それは子供とか女性とかいう属性のせいではなく、アシパさんだからモンペになっているのだと思います。

インカマッも蝮のお銀も同じようなタイプですよね。ゴールデンカムイは、登場する女性たちが特別扱いされず、男性キャラと同様に生き生きと躍動している点において、安心して楽しく読める漫画だと私は感じています。

……あ、ポリコレフェミニストの人かな? って思いました? すみません、若干そうかもしれません。ただ、この1点だけをもってゴールデンカムイを讃えているわけではないことはご理解いただけると幸いです。

てか、正直そういう観点から見ると、男性キャラの扱いはかなりアレだと思います。これに関しては後の巻の感想で書きます。








感想は以上です! 最後までお読みくださりありがとうございました。4巻以降の感想も頑張って書いていく予定です。

4巻の感想こちらの記事に書きました。

他の巻の感想は以下の「関連記事一覧」よりご覧いただけます。








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※この文章は、赤城みみる(Twitter ID i14wander、はてなブログID i14wander)により執筆され、赤城みみるの所有するブログ「星を匿す雲」(http://cqs4live.hateblo.jp/)(http://cqs4live.hateblo.jp/archive)に掲載されているものです。著作権法32条で定められた要件を満たさず行われる転載は、著作権法21条に違反します。




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