皆様こんにちは。赤城です。
先日、漫画『ゴールデンカムイ』聖地巡礼のついでに、北海道網走市にあるモヨロ貝塚に行ってきました! その結果、ついでというよりここも本命みたいな感じになってしまいました(笑)。
アクセスや見どころ、周辺の施設についてご紹介したいと思います。
モヨロ貝塚とは?
北海道網走市の網走川河口にある、8世紀頃のオホーツク文化を代表する遺跡です。住居、墓、貝塚の発掘により、オホーツク文化人の特徴的な暮らしぶりを今に伝えています。理髪師の米村喜男衛氏が「発見」し、大正期から現在に至るまで、多くの研究者と地元の方々の協力により調査・整備が進められました。
米村氏のエピソードや貝塚の研究史は、貝塚の研究成果自体と同じくらい面白いのですが、長くなってしまうので割愛します。ご興味のある方は、参考文献の項でも紹介しているシリーズ「遺跡を学ぶ」のモヨロ貝塚の巻を読んでみてください!
オホーツク文化とは?
オホーツク文化は、3世紀~13世紀頃までオホーツク海沿岸地域である北海道北沿岸部・樺太・千島で栄えていました。北海道には5世紀頃~9世紀頃まで存在し、その後、他の文化と融合して姿を消しました。ちなみに同時期、北海道の他の地域は続縄文文化~擦文文化、本州は古墳文化~平安文化の時代です。人々は海獣(アザラシやオットセイなど)狩猟や漁労を生業としていました。モヨロ貝塚では、海獣狩猟が主だったようです。
住居や墓のつくり方が非常に興味深いです。それらについてはこの記事の後半でお伝えします!
アクセス
モヨロ貝塚は、網走の市街地から少し離れたところにあります。しかし、大通りに大きな看板が出ているので迷うことはないでしょう。地図は公式サイトにてご確認ください。
各交通手段についてご紹介いたします。
自動車
大きな駐車場があるため、自動車で訪問しても全く問題ありません。駐車場はモヨロ貝塚・モヨロ貝塚館の一段下にありますが、エレベーターを使って楽に上がることができます。
バス
路線バスで「モヨロ入口」下車です。時刻表を見ると、「網走バスターミナル」から出るバスに乗ればだいたいどれでも大丈夫そうです。詳しい時刻については網走バスに問い合わせるか、バスターミナルの職員さんに確認した方がよいかもしれません。
ちなみに、モヨロ貝塚館の公式サイトには「女満別空港線」も使えると書いてありますが、時刻表を見るとそんなことはないような……。
自転車
私はいつもレンタサイクル派です。なぜかって? ペーパードライバーだからです! いや、自転車もなかなかオツなものですよ、道端の風景をゆっくり眺められるので。今回は網走駅の駅レンタカーで普通のママチャリを借りました。が、道の駅「流氷街道網走」の方が電動自転車があって良かったですね……。全然気づいてなかった。
>>網走市観光協会 レンタサイクル案内
>>流氷街道網走公式サイト
市街地を回るだけならママチャリでもOKなのです。しかし、天都山の山腹にある博物館 網走監獄などの施設にも行こうと思うと地獄のような坂道があります。
レンタサイクルで博物館巡りをする予定があり、かつ、網走監獄の受刑者になったかのような気分を味わいたくない方は、流氷街道網走で電動自転車を借りましょう。
徒歩
公式サイトによると、網走駅から約25分だそうです。普通に舗装された道ですので、歩き慣れている方なら大丈夫です。モヨロ貝塚館・遺構の様子
モヨロ貝塚館と遺構の様子をご紹介いたします。正直、モヨロ貝塚館の外にある遺構は概要を理解しないまま見学しても何が何やらよく分からないと思うので、モヨロ貝塚館を先に訪問することをオススメします!
モヨロ貝塚館
外観はこんな感じです。リニューアルされたばかりで綺麗です。トイレはウォシュレット完備。
館内では無料で音声ガイドも貸し出しています。
入場料等の情報は公式サイトにてご確認ください。
展示内容は、ビジュアル的に分かりやすく、視覚に訴えるものが主でした。
- 発見者・米村喜男衛についての解説
- 紹介映像
- 出土品の展示
- 書籍コーナー
- 住居の再現
- 墓域の実物展示
などなど、盛りだくさんでした。
ただ、あまりぎっしりと解説されている感じではありません。家族や社会科見学で訪問して、好奇心を刺激するのにちょうどいいかもしれません。
もっと深く知りたくなった方は、受付で関連書籍を販売しているので購入してみてはいかがでしょうか。この記事で参考文献として使っている書籍もそこに置いてありました。
写真撮影OKとのことでしたので、いくつか撮影したものを掲載しておきます。
クマ頭部像
展示室に入ってすぐのところにどんと置いてあります。石製です。オホーツク文化では、クマを最も尊んだのだとか。ちょっとアイヌの香りを感じませんか?
前述の通り、北海道のオホーツク文化は消滅してしまったわけではなく、近現代のアイヌに連なる擦文文化に融合したとのことです。それを裏付ける遺跡も見つかっています。胸熱ですね!
住居の再現
再現された住居の様子です。入り口から撮影した写真。
入り口付近の写真。
オホーツク文化の住居には、以下のような特徴があります。
- 敷地の形が六角形(のちほどご紹介する遺構で顕著に見て取れます)
- 中央に炉を設けた(写真1枚目中央)
- 同じ住居を何度も改築して使っていた
- 家屋の一方の端に、ヒグマやエゾシカ、アザラシなどの頭骨が、顔を家の内側に向ける形で積み上げられていた(写真1枚目右上)
- 家屋のもう一方の端に、上記の動物の四肢骨が積み上げられていた(写真2枚目)
最後の2つが特に興味深いですよね! 研究者の間では「骨塚」と呼ばれているらしいです。
触れる出土品
貝塚から出土した海獣などの骨に触れるコーナーがあります。8世紀の動物の骨ですよ!?(興奮)墓域の実物展示
受付から入り、展示を順番に見ていくと、やがて下に降りる階段が現れます。階段を降りると……そこは墓域だった。
そう、この資料館、なんと墓域の一部がそのままorガラス張りで展示されているんです!!!(大興奮)
古人骨好きの皆様、ここは網走を訪れたなら絶対に外してはならないスポットです!! 8世紀のオホーツク文化人の人骨ですからね!?
ではしばらくの間、私が撮影した人骨の写真をご覧ください。
怖いからイヤだ! という方は飛ばしてください。
やはり古人骨は美しいですなハァハァ。撮影OKって許可いただいたんだから、もっといっぱい写真撮ればよかった。
オホーツク文化の墓制の特徴は以下の通りです。
- 幼児などの例外を除き、頭を北西に向ける
- 頭に壷を被せる
- 手足を折り曲げる
- 木槨や、墓の上に石を配置するなどした墓も見られる
同時代の本州とも、アイヌの源流と言われる縄文時代とも似て非なる埋葬方法です。手足を折り曲げるのは縄文っぽいし、木槨や石を配置するとかはなんとなく弥生~古墳時代の匂いがするのですが、壷を被せるというのが何より独特です。どんな意味を込めたのか、気になります!
遺構
モヨロ貝塚館に隣接しています。遊歩道が整備されているので、ぐるっと回ってみるとよいでしょう。
住居の再現の項で触れましたが、敷地の形が本当に六角形です。
ヒグマの頭骨の「骨塚」が発見された遺構です。頭骨と比較していただくと分かるように、結構大きいです。
墓域です。う~ん、草が生い茂っていてちょっと分かりづらい(笑)。
周辺の施設
最後に、モヨロ貝塚周辺の観光スポットをご紹介したいと思います!二ツ岩
モヨロ貝塚館を海側に出て、海辺の道をずっと辿っていくとあります。特に観光スポットというほどのところではないのかもしれませんが、二つの巨岩が海辺に並んでいます。
この岩は、波の浸食を受けてこのような模様になったのでしょうか? 綺麗ですね。
行く途中の風景も良かったですが、それは別記事にて書きます。
網走市立郷土博物館
モヨロ貝塚の発見者、米村氏が名誉館長を務め、かつて貝塚の出土品が展示されていた博物館です。
モヨロ貝塚館は、実はこの博物館の「分館」ということになっています。
しかし、同日に訪れたのにこの博物館は休館、モヨロ貝塚館は営業していました。なんだこの露骨な差は……。
ぐぬぬぬぬ……中を見てみたかった……この記事とか読むとすごく面白そうなところやん……。
博物館 網走監獄
前述の通り、地獄のような坂道の上にありますので自転車で行くなら電動アシストがマストです。私は普通のママチャリで行って心が死にました。
施設の中は愛知県の明治村みたいな感じです。
この記事で詳しく書いていますが、北海道開拓は囚人たちの犠牲なくしては成り立たなかったということが初めて分かって衝撃でした。高校の日本史では習うのでしょうか? 途中まで理系だったので、日本史は日露戦争くらいからしか履修してないんです。
ちなみに、「監獄食堂」というのが受付前にあって(網走監獄に入館しなくても入れます)、当時の囚人たちに支給されていた「監獄食」なるものを体験することができます。まあ、私はここまで来るのに地獄を見たので高カロリーのものをがっつりいただきましたけど……。
その他の博物館
博物館 網走監獄の近くには北方民族博物館やオホーツク流氷館もあります。さっきの記事を再掲するけどマジで博物館天国ですね。特に北方民族博物館はアイヌに関する展示があるらしいので行くつもりだったのですが、時間がないので諦めました。あの坂道でタイムロスしていなければ……。いや、時間があっても網走監獄から北方民族博物館まではさらに急峻な坂道が続くから、そこまでする気力があったかどうか……。
結論:博物館巡りだけするのであれば、網走は自動車かバスで回るのを強くオススメします。それか電動自転車。
参考文献
モヨロ貝塚館の受付で販売していました。米村氏のお孫さんが執筆されているそうです。モヨロ貝塚とオホーツク文化の概要はもちろん、米村氏のエピソードや貝塚の研究史が詳しく書いてあって面白いです。訪問記録
訪問日:2018.7.16天気:晴れ
交通手段:自転車