星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

【感想・考察】レイジングループ

ケムコスマートフォン/Nintendo Switch/PS4/PS Vita/PC用ゲーム『レイジングループ』のネタバレあり感想を書きました。

トゥルーエンドや後日談の感想も書いていますので、まだクリアしていない方には読まないことを強く推奨いたします。未プレイだけど興味があるという方はぜひ、幣ブログのネタバレなしレビューを読まれるか、さくっと購入してプレイしてみてください。


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登場人物についての感想

印象に残ったキャラ、言いたいことがあるキャラだけ書きます。書いてないキャラも嫌いなわけではないですよ。全員、このゲームに不可欠な大切な人たちです。



房石陽明

こいつにはマジでビビりました

「機知」の途中までは良かったのです。彼は私とほぼ完璧に同期していました。私は彼ほどスペックが高くないし彼ほど女性に対して邪な興味もないけれど、彼が休水村の住人と数々の謎に対して抱く感情には全くもって同意していました。なんという悲劇の村だ。私が頑張って全員救わなければ! てな感じで。

しかし「機知」の終盤になって、私はドン引きしました。え、何お前「人狼の手足を切り落とそう」なんて平然と提案してんの? 頭おかしいんじゃないの? もしかして普段はちゃっかりカタギじゃない世界に住んでいらっしゃる?? (結局は切り落としても三車がどうにかしてしまっただろうし、一応カタギの世界に住んでいるっぽいですが)

彼は自分自身は「正しさ」を持っていないので周りに引きずられる、みたいなことを言っていましたね。あのときまでは周りがわりと常識人だったから常識人をやっていたのでしょう。手足を切り落とすことを提案したのはバッドエンドの千枝実たちの悪辣さに引っ張られたからです、たぶん。

そんなわけで「暗黒」ではもう完全に彼と私の意識は切り離されていました。グノーシアでも人狼側の視点でないと分からないことはあったので(参考記事:グノーシアのレビューと感想:マイルドな人狼ゲームとSFADVを楽しめる良作 - 星を匿す雲、きっとレイジングループもそういう感じなのだろうから房石頑張れよとは思ったものの、もはや彼が私の分身だとは考えたくありませんでした。そもそも、まず、男だしな。女性に興味ありすぎ&モテすぎてドン引きだしな。

といった調子で、本作の後半は房石の言動自体に、叙述トリックを使ってる臭い推理物を読んでいるときのようなハラハラする面白さがありました。私と同じように自己投影型のプレイヤーは感情の振れ幅が大きくなって楽しかったのではないでしょうか。



芹沢千枝実

周回によって印象が本当にまっったく違うのが面白い。ヒロインの中ではなんだかんだ一番好きです。健気でちょっと乱暴者なところがかわいい。

結局くっつくの!? とは思ったけど、神殺しの英雄になったのであれば房石しか適任者はいないでしょうね。誰かそばにいてやらないとそれはそれで世界を滅ぼしそうだから房石さんが責任を取るのが良いと思いますマジで責任取れよな房石ィ。



回末李花子

この人も周回によって印象が変わりすぎて面白い件。

「神話」で真相が分かったときは超怖かったです。「機知」で彼女の死に絶望して必ず生還させてみせると誓った自分に絶望しました。

でも後で暴露パートを見たらだいたい単なる恋する乙女だったので安心しました。いや怖いは怖いが、人間らしい部分は演技ではなかったと分かったので。後日談での堕落っぷりがかわいかったです。

集落の全員食ってるってところに若干興奮したのは内緒です。男どもはどうでもいいけど百合はとってもおいしいブヒヒ



巻島春/かみさま

こういう気難しい&ミステリアスなタイプはかなり苦手なんですよね。しかも仲良くなれるのが人狼パートのみって。

なのでヒロインとしてあまり肩入れはできませんでしたが、単純にキャラクターとしては魅力的なんじゃないかと思います。

しかし最期の笑顔には感情を持っていかれました。暴露パートのかみさまの「房石は私が独占する」発言にも持っていかれました。房石、モテすぎ。



織部泰長

「黄泉」での恐ろしくも哀しいおおかみの印象がその後も尾を引く人です。初めて房石が対決するおおかみが彼だったからこそ、レイジングループは名作になったのだと思います。

「機知」において実は考古学系の学問がやりたいらしいと判明し、大学生の頃そちら方面をやっていた私は強いシンパシーを感じました。今頃は立派な考古学者になっているのではないでしょうか。

後日談でなんか馬宮さんといい雰囲気になってるのを見て、馬宮さんと年齢の近い私は彼女のことを素直に羨ましいと思ったのでした。あくまで二次元の話ね。



織部義次

上っ面が突っ張ってるだけで中身めっちゃいい子。ゆえにその無理な突っ張り方が「機知」からは笑いを誘いました。

惜しむらくは、お兄さんと違ってあまり宴の場で大活躍することがなかったところですかね。いや、宴は頭脳戦なので、彼だけでなくメインで頭脳戦・権力争いしてるメンツ以外はあまり出番がないのですが。



馬宮久子

本作のダークホースその1。おおかみにならなければとても頼れるキャリアウーマン。

「機知」で生き残ってもらえたときは本当に嬉しく、おおかみであることが分かったときは絶望し、豊富なオカルトの知識に「この人絶対惨劇回避に必要な人材やん!」って泣いた。「暗黒」で初めて生きたまま村人側になってくれたときは感無量でしたよ。

よく考えたら『ひぐらしのなく頃に』の鷹野さんとスペックが微妙に似てる。というか橋本・馬宮コンビは明らかにひぐらしを意識したのでしょうね。微妙に似てるだけで、中身は違いますが。

後日談でクトゥルフ的な世界に迷い込んでなんか食べてたけど、大丈夫なのか、あれ……。かみさまの力で守ってもらえるといいんだけど。



橋本雄大

本作のダークホースその2

見た目から、のんびりしていて色んなことに疎い人だと思っていたけれど、「暗黒」で実はすごい切れ者だと判明して燃えました。萌えじゃなくて燃えです。

それだけに、房石が狼やってるルートでしか生存しないのが非常に惜しい。ぜひ、房石とタッグを組んで戦ってほしかった。残酷なようですが、私は彼をはじめとする出番少なめだった人たちの活躍を目にしたいがために、このメンツでもっと色んなパターンの宴を見てみたいと思ってしまいます。



能里清之介

序盤とクリア後で印象が最も大きく変わったのがこの人です。序盤の私「こいつとは絶対友達になれねぇ」からのクリア後の私「絶対いい友達になれる」。落差がすごい。

嫌味な性格の無能なお坊ちゃまだと思っていたのに、自己表現が下手なだけで実は普通にいい人で、しかも生粋のオタクだったなんてもうエモすぎて、私が筋金入りの腐女子だったら房石x能里または室x能里の二次創作を各10本は書き上げてるところですよ。クソライトオタクでごめんなさい。



山脇多恵

唯一、「もう少し活躍させてあげてェ!」と思った人。

宴のルールをプレイヤーに理解させる上で重要なキャラクターではあるが、イマイチ影が薄かった。あくまで自分の陣営のサポートに徹しきってる感じ。

や、まあそういうキャラなのは分かるんですが、私としてはぶっしゅぶっしゅ殺しちゃう多恵ばあも見たかったりするわけですよ。熟女も(邪な意味ではなく)好きなので。



狼じじい

「ぼけたおじいちゃんか、かわいいな~」とか思っておじいちゃんキャラ大好きマンとしては結構注目してたのにさ!! 本当にショックだったよ、終盤のあの展開には!!!

いやまあなんかあるだろうとは思っていたけどそんな凶悪犯だったとは。しかも、全員生還を目指していたはずが、狼じじいだけは普通に死んでしまうじゃないですか。房石の嘘つき! 殺人鬼だって房石パワーでどうにか生き延びさせてあげたらよかったじゃないの!!

もしかして後日談の馬宮さんのアレが狼じじいにとっては最適解だったりするのかなあ。案外そうかもしれないですね。




ストーリー・設定についての感想・考察

ヒロインたちとの心温まる(?)エピソードがあります

……って、ギャルゲ好きな人を一人でも釣りたくて、ネタバレなしレビューで思わず書いちゃいました。心温まるどころか恐怖で凍りつくこともありますけどね(笑)と付け足したい衝動に駆られます。めちゃくちゃネタバレになるのでやめときますが。まあ嘘にはならないと思います、最終的には心が温まるので。



清之助氏との神話の真相解明パートが最高だった

こことおおかみさまの骨を掘り出すところが個人的なこのゲームの白眉

私はその方面の話が大好きなため、申奈さん信仰がどのように形成され維持されてきたかが民俗学歴史学っぽい手法を用いて怒涛のように解説されていくのに、ときめきが止まりませんでした

なお、ニワトリ頭なので隠し部屋のパズルの選択肢は全部試しました。清之助氏、4回も串刺しにしてスマン。



黄泉忌みの宴は本当に全部科学的に解明できた

完全に超常現象として終わるものだと思っていました。感服しました。最初に房石がその可能性を示唆したとき、「全部人が仕組んでる……? いやいや、一応頑張ればできないこともないけど、費用対効果を考えたら荒唐無稽じゃん」って思ったけど、それも藤良の異常性を示していると思えば納得できます。



「黄泉」で千枝実の体が腐った理由

体に何か特殊な薬物を注入されたからなのか、それとも「かみさま」のせいでああなってしまったのか。謎です。あそこだけ何も種明かしされてないですよね。



めー子も「死に戻り」しているのではないか?

死に戻りが誰に起こるかは、実は明かされていなかった気がします。

千枝実と房石がループに巻き込まれたのは、李花子さんが、元々のメンバーだけでは何度試行しても自分の望む結果にならないので、本来参加する予定ではなかったのを無理矢理呼び込んだせいなんですよね。とすると、彼らが一様に死に戻りの能力を得ているのであれば、同じように本来の参加者ではないめー子にも死に戻りの能力が宿っている可能性がある

うん、だから何って話ですけど。めー子じゃあ、いくら死に戻ってもそんなに活躍できなそうだしな。



後日談に出てきた三つ目の神様

馬宮さんを捕まえようとした神様がもしかして本物の「おおかみ様」なんですかね? 房石は害のない優しい神様として演じたけど、実際には本当に怖い神様だったと。

にしては、古参のはずの「かみさま」がヘコヘコしてて力関係がおかしいような、とも思ったのだけど、かみさまは信者がいなくなって長らくおおかみ様の眷属になっていたわけだから、まあ理屈は通るのか。

そうすると、馬宮さんがあの世界に取り込まれてしまったのは「いつまで経っても俺のところに『よみびと』が来ないじゃん!」って思ったおおかみ様の癇癪のせいで、橋本さんを身代わりにするとか言い出したのもそのせいなのかも。



後日談の「まきば」系の設定に漂うガンパレード・マーチっぽさ

申し訳ないが、後日談は正直半分くらいしか理解できませんでした

たぶん前作の『デスマッチラブコメ!』(DMLC)の設定を持ってきてるのでしょうけど(めー子はDMLCのヒロインの一人ですね)、分からない上に長すぎてなぁ……ひつじさんの能力も含め、正体をちょっと仄めかす程度なら「ふ~んそういう設定なんだね」で流して終われてよかったのにな。せっかく日本の伝奇SFホラーとして綺麗にまとまっていたのに、「まきば」系の設定群だけ異質でものすごい蛇足感がありました。

端的に言って、そこだけ悪い意味でガンパレみたいだなって思いました。無名世界観的な。

馬宮さんの話は普通に良かったです。クトゥルフと洒落怖は案外相性が良いですし(って今回気づかされたんですけど)、洒落怖の源泉は日本的な恐怖や畏れの感情なので、自然にレイジングループ本編と繋がっている感じがします。




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最後までお読みくださりありがとうございました!

「汝は人狼なりや?」が好きな方には、一人でマイルドに「人狼」が遊べる『グノーシア』もおすすめです!

レイジングループのネタバレなしレビューはこちらの記事で書いています。





※この文章は、赤城みみる(Twitter ID i14wander、はてなブログID i14wander)により執筆され、赤城みみるの所有するブログ「星を匿す雲」(http://cqs4live.hateblo.jp/)(http://cqs4live.hateblo.jp/archive)に掲載されているものです。著作権法32条で定められた要件を満たさず行われる転載は、著作権法21条に違反します。