星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

公共交通機関で頑張る道東旅行④:網走センチメンタル・ジャーニー

皆様こんにちは。赤城です。


先日、北海道の道東を阿寒→釧路→弟子屈→網走と旅行してきたので旅日記を書きました。

4記事目は網走周辺のご報告です。

※ところどころで野田サトル先生の『ゴールデンカムイ』ネタが出てきます。諸々苦手な方はご注意ください。




網走駅

川湯温泉から、釧網本線網走駅へ向かう。
釧網本線網走行

知床斜里駅から先の海岸線近くを走っているときは旅情に溢れている。心地よい揺れに身を任せながら、進行方向右側に雄大オホーツク海を眺めることができるのだ。写真を撮り忘れたのが残念でならない。


ついに網走駅に到着。日本の最果ての地まで来た感がすごくて身震いしてしまった。
網走駅の標識
網走駅前






レンタサイクル

網走ではレンタサイクルで市街地を回ることにした。道東旅行5日目にして初めての自転車である。


網走市内でレンタサイクルを借りられるのは駅レンタカー流氷街道網走の2箇所のみだ。

私は駅レンタカーでママチャリを借りた。
網走駅駅レンタカー
駅の真ん前にあるため、電車から降りてすぐに行動開始したいレンタサイクラー(?)にとっては都合がいいかもしれない。

しかし、ここには電動アシスト付き自転車がないことはご留意いただきたい。

海の方の平坦な土地だけを観光するのであればママチャリでも十分だが、山の方の博物館を見学しようとすると、電動自転車がないと足が死ぬのである。実際私の足は死んだ。詳しくはこちらの記事にて

レンタサイクルで博物館巡りがしたいなら、悪いことは言わないから流氷街道網走で電動アシスト付き自転車を借りた方がいい。マジで。

>>網走市観光協会 レンタサイクルについて




モヨロ貝塚

まず向かったのは、「モヨロ貝塚」。網走駅から自転車で10分ほどの、網走川オホーツク海の境目にほど近いところに位置している。
モヨロ貝塚館外観


モヨロ貝塚は、8世紀頃のオホーツク文化を代表する遺跡だ。

オホーツク文化とは、その名の通りオホーツク海沿岸地域に栄えた海獣狩猟・漁労を生業とする文化であり、住居や墓のつくり方に特徴がある。

貝塚館は、このモヨロ貝塚の成り立ちや出土品、研究史などを非常に分かりやすく紹介している。

こんなふうにオホーツク文化人の人骨が間近に見られる展示もあるので、古人骨好きのそこのアナタは必見だ。
モヨロ貝塚館で見ることができるオホーツク文化人の人骨


ご興味の湧いた方は、詳しくまとめた別記事をぜひご覧いただきたい。


ちなみに、ここの書籍閲覧コーナーにあった「今こそ知りたいアイヌ」というムックが気になって、後で購入した。アイヌについてかなり網羅的に説明されていて面白かったので、ここでおすすめしておく。





網走海岸

モヨロ貝塚館からふらっと海沿いの道に出てみた。

海産物加工工場が立ち並ぶ道だ。潮の匂いとカモメの鳴き声が心地よい。
網走海岸のカモメ

ちょっと走ると、遠くの方に巨大な岩が2つ並んでいるのが見えた。無性に行ってみたくなった。
遠方に見える二ツ岩



割れたウニ

道すがら、歩道のところどころに栗のイガが落ちているのに気づく。
網走海岸沿いの歩道に落ちていたウニの外殻
いや……栗のイガではない。ウニの外殻だ。


ふと、カラスが道路に木の実や貝を落とし、わざと自動車に轢かせて食べることがある、という話を思い出した。これもその類例なのではないか。ウニは柔らかいから、高いところから落としただけで割れてしまうのかもしれない。

人間以外にも賢い生き物っていくらでもいる。ていうか人間の賢さなんてごく一面的なものに過ぎないんだよなあ。そんなことをぼんやり考えた。



二ツ岩

ずっと遠くから見えていた2つの巨岩に到着。
二ツ岩title=二ツ岩
地元の家族らしき人々が潮干狩りをしていた。若干のアウェイ感を覚えながらも、あたりを一回りしてみる。


二ツ岩の岩肌。色鮮やかで美しい
岩肌。色鮮やかで美しい。

二ツ岩の岩肌。独特な模様をもつ
岩肌その2。波の浸食を受けてこのような模様になったのだろうか?

二ツ岩の近くから眺める網走市街
岩の近くから眺める網走市街。と言ってもほぼ見えない。それよりも、まだらな水面に映る空が綺麗だ。


特に観光スポットという感じのところではなかったが、内陸住まいではなかなか見られない景色を見られて楽しかった。


>>じゃらんnet 二ツ岩



エゾタヌキ、再び

市街地に帰ろうと海岸沿いの道を走っていると、神社があった。
二ツ岩神社
二ツ岩神社というらしい。北海道の神社だから、比較的新しいものではないか?

そんなことを考えながら鳥居を眺めていたら、近くでガサガサと音がした。

二ツ岩神社付近にいたエゾタヌキ
エ、エゾタヌキだーーーッ!!! かわいい! 超かわいい!! よーしアシパさんに捕まえてもらって食べよう!!

興奮して写真を撮り、デジタルカメラの画面から目を上げると、エゾタヌキの姿は消え失せていた。私の邪念を察したのだろうか。

釧路湿原に続き、北海道で2回もエゾタヌキに出会えたのは嬉しかった。




博物館 網走監獄

網走海岸を後にして向かったのは「博物館 網走監獄」。
博物館 網走監獄入り口
網走監獄正門

釧路から弟子屈を抜け網走に至る、ゴールデンカムイ聖地巡礼旅行のフィナーレにふさわしい場所だ。

施設の中は愛知県の明治村のような感じ。網走監獄の古い建物が保存され、監獄の歴史が解説されている。


感想はこの記事に書こうと思っていたのだが、想像以上に分量が膨らんでしまったので別記事に分けた。ご興味のある方は以下のページをご覧いただきたい。






網走市立郷土博物館

ところで、網走で一番先に見にいったのは、実は「網走市立郷土博物館」だった。


見た目がすごくおしゃれだ。


で、ここまで来たんだから、当然入館したものだと思うじゃん? 休みだったんだな、これが! 祝日の月曜日なのに!

普通は翌日などに休みをずらして営業するものではないだろうか。しかも、この博物館の「分館」ということになっているモヨロ貝塚館は、上の方で感想記事を紹介しているところからもお分かりいただけるように普通に営業していたのだ。これが大人の事情ってやつか……。


そんなわけで、記事の最初の方にあるとがっかり感が強いため、ここに入れた。




女満別空港まで

最後に、網走駅から女満別空港までの道のりについて書いておく。


JR石北本線に乗車。
石北本線

女満別空港に行くなら、「女満別」で降りるのが最も近道だ。

しかし、私は「西女満別」で降りることにした。本州へ帰る前にもう少しだけ、北海道のなんでもない場所を歩いてみたかったのだ。



西女満別で思ったこと

西女満別駅で降車。
西女満別駅駅舎
びっくりするほど無人駅だった。果たしてここから女満別空港へ時間までに到着できるのか、急に不安になってきた。

行ってしまう石北本線
行ってしまう石北本線。だいぶ心細い。

西女満別駅を出てすぐのところに、ずっとまっすぐに続いている道があった
駅を出てすぐのところに、ずっとまっすぐに続いている道があった。

思わず見入ってしまった。そして急に泣きたくなった。


私は東京が嫌いだ。

東京で金のためにあくせく働くくらいなら、こういう地面が広くひろく見える場所で、のんびりと生きたい。

あるいは、阿寒や弟子屈のように美しい湖とともに暮らせる場所。またあるいは、網走のように、文化遺産とそれを守る志をもつ人々に恵まれた場所で。

しかし、当たり前のことだが、今の北海道に私の居場所はない。

それに、私の眼には見えないだけで、きっとこの土地にも多くの困難がある。私は肉体的にも精神的にももやしっ子だから耐えられないと思う。

結局、イヤだイヤだと言いながら私は東京を離れられない。これからも、時折旅行に行っては、その土地で幸せに暮らす自分を夢想するだけなのだろう。



迷子

陳腐な感傷に浸ったのち、Googleマップの導きに従い女満別空港へ向かう。

女満別空港までの道。今にもヒグマが出てきそうな雰囲気の坂道だ
なかなかの坂道。しかも今にもヒグマが出てきそうな雰囲気だ。

坂道を乗り越えると女満別空港が遠くに見えてきた。
坂道を乗り越えると女満別空港が遠くに見えてきた

よし、もうすぐだ! と思った。
だが、私は自分の方向音痴度合いを忘れていた。この後約40分ほど、見えるのになかなか近づかない空港の建物を目印にさまようことになった。


ついに到着した女満別空港
ついに到着した女満別空港。達成感が半端ない。


なお、女満別空港では2時間近く飛行機が遅れたために自宅に帰れず、都心のカプセルホテルで一夜を明かすことになったのだが、それはまた別の話に。




道東旅行を終えて

ごく簡潔に言うと、涼しいし遺跡はたくさんあるし空気と景色は綺麗だしご飯はおいしいしで最高だった

なんかさっきはポエミーなことを口走ってしまったけど、要は本州はクソ暑いし色々しがらみを抱えているので帰りたくなかったのだ。でも帰ってきてしまった。悲しい。


アイヌについて知ることができたのもよかった。

無論、「知る」と表現するのもおこがましいほどほんの少しの知識しか得られていないと思う。

しかし、私はこの旅行以前には、アシパさんかっこいい! とかアイヌの神話面白い! とか言っていたわりに、現代に生きるアイヌを思い描いていなかった。大変失礼ながら、アイヌを完全に過去の人々だと思っていた。

でも、今は違う。アイヌの人々が今も文化を継承しながら生きていること、私たち「和人」がそのことをしっかり認識し、互いの文化を尊重していく必要があることを意識するようになった。


総じて、道東旅行は、これまでの旅行と同じくらい楽しかった。

また北海道はぜひ訪れたいと思う。今回行った場所も、まだ行ったことのない場所も。








最後までお読みくださりありがとうございました!
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