星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

きみも古代生活体験村で古代人になろう

皆様こんにちは。赤城です。

先日、今何かと話題の古代生活体験村に行ってきましたので、報告いたします。




「古代生活体験村」とは?

この項では古代生活体験村の概要を説明します。

ちょっと長いので「とりあえず感想が読んでみたい!」という方は体験談の項まで飛んでください。



「あきやま学寮」の施設の一つ

あきやま学寮」は、栃木県佐野市秋山町にある民間の宿泊施設です。
あきやま学寮看板
公式ページ:栃木県佐野市の宿泊施設あきやま学寮・ウッドランド森沢・古代生活体験村

周囲を緑深い山とのどかな川の流れに囲まれていて、

を擁しています。



アクセス

電車+バス電車+タクシー自家用車、の3つの経路をご紹介します。

私は電車+バスで行きました。


電車+バス

佐野駅までは各自お好きな経路で。

佐野駅からは東武佐野線終点の葛生駅まで向かいます。(約15分)

葛生駅からは市営バス秋山線のマイクロバス「さーのって号」に乗ってあきやま学寮前で降ります(約40分)。

「さーのって号」は本数が少ない上に午後はオンデマンド運航で、運航1時間前までの電話予約が必要になるので注意が必要です。

詳しい運航時刻、利用方法は佐野市公式サイトでご確認ください。ちなみに運賃は片道300円とかなり良心的です。

公式サイト:http://www.city.sano.lg.jp/komoku/traffic/01/index.html
さーのって号


電車+タクシー

葛生駅までは電車で行き、葛生駅-あきやま学寮間はタクシーを使うという手もあります。ただしちょっと高いです。5000円くらい。

そして、あきやま学寮に迎えに来てもらうのだと、来るまでに40~50分程度かかりますので早めに連絡した方が良いです。


自家用車

こちらは全く検討していないため詳しくはお伝えできません。すみません。

しかし、時間の自由もきくし、そこまで分かりづらい道もなさそうだったので、車をお持ちの方は車で行くことをお勧めします。公式サイトに案内が書いてあるのでご確認ください。(レイアウト崩れしていますが……。)



利用料金

主だったものは以下の通りです(2017年10月時点)。

  • 必須
    • 部屋
      1棟11800円(竪穴式住居)
  • 任意
    • バーベキュー道具
      1セット1620円
    • バーベキュー食材
      1人1300円
    • 朝食
      1人760円
    • 古代っぽい服
      1人100円
    • 部屋用の薪
      1セット550円
    • 火おこしの道具
      1セット3000円(マイギリ式)

これら全てを、例えば5人で割ると約5400円となります。この値段+交通費で竪穴式住居に泊まれちゃうなんて、夢のような話ですよね!?



おすすめの持ち物

今回私が用意していったもの+現地へ行ってから持ってきた方が良かったと思ったものを挙げました。


  • 着替え
  • 寝間着
  • 歯ブラシ
    このあたりはまあ、どこへ行くにも必須です。


  • 虫除け
    虫除けはスプレータイプのもの、軟膏タイプのものなど色々ありますがどれでも大丈夫かと。私はラオス旅行で使った虫よけシールがちょうど余っていたので使いました。


  • 消毒液、ばんそうこう
    屋外ではヤマビルに噛まれるおそれがあります。噛まれてしまったら、患部を洗った後、消毒液でよく消毒し、ばんそうこうを貼っておきましょう。


  • タオル
    貸し出しは行っていないため、持ち込みました。管理棟で購入もできるとのことです。


  • 厚手の上着、ホッカイロ
    秋になると朝晩は相当冷えます。特に竪穴式住居の方は、火を焚いても部屋全体はさほど暖かくなりません。


  • 懐中電灯
    各住居~トイレ間は電灯があるので大丈夫ですが、あきやま学寮の方にお風呂に入りに行くときや肝試しのとき(笑)は道が暗いので必須です。


  • マスク
    竪穴式住居でたき火を焚いて寝る場合、部屋がかなり乾燥しますので、装着して寝るとよいかもしれません。


  • 軍手、雑巾
    バーベキューをするなら用意した方がよいです。貸し出しのバーベキュー道具の中には入っていません。


※バーベキューの食材や食事は、事前に予約しておけば用意してもらえます。



申し込み方法

  1. 宿泊できる日をこちらのページから確認。
    ※古代生活体験村は4月~10月しか営業していません。ご注意ください!

  2. 同ページ内に記載してある電話番号に電話。宿泊日と借りたい住居の名前、人数、代表者の名前・住所・電話番号を伝えます。

  3. 代表者の住所に施設の利用許可証と利用案内が届きます。アナログですね(笑)。

  4. 利用案内に、利用できるプログラムや食事(いずれも要予約)について書いてあります。利用したい場合は早めに連絡。

  5. 当日は利用許可証を忘れずに持って行きましょう。


質問があったら遠慮なく電話しましょう! 明確な営業時間は分からないのですが、平日休日ともお昼~夕方頃に電話したら対応していただけました。



注意点

人によってはデメリットかも? というところをまとめました。


  • トイレが和式
    私はウォシュレット付きの洋式トイレがないと永くは生きられない超インドア派なので若干落ち着かない気分になりました。ただ、夜でも電灯がついているためトイレまでの道のりは全く怖くないし、トイレの中も綺麗です。


  • ヤマビルがいる
    私の友人も刺されてしまいました。その後、体調が悪くなることはなかったようなので安心しましたが、ヒルに引っ付かれるとちょっと気持ち悪いですよね……。


  • 竪穴式住居の中でたき火をすると持ち物が臭くなる
    臭くなってもいいような服と持ち物で行くことを推奨します。


  • セキュリティ面が若干不安
    施設全体が、塀で囲まれているわけでも山の上にあるわけでもなく、外部に対して剥き出しの状態です。また、竪穴式住居は内鍵がちょっと心許ないです。簡単に開かないように工夫することはできますが。

    まあそもそも藁でできた家にセキュリティを求めるのは無理な相談というやつですね。大柄な人に体当たりとかされたらひとたまりもないでしょう。

    しかし、万一不審者が来てもワンクッションあれば対応できると思います。出掛けるときも住居の中にいるときも鍵をしっかり掛けておくようにすれば大丈夫でしょう。




体験談

ここからは、古代生活体験村の体験談を書いていきます。

今回は友人数名と一緒に行きました。



到着まで

まずは佐野駅から古代生活体験村へ行くまでについて。


佐野駅

佐野駅集合でしたが、早く着いたので少し駅の周囲を散策してみました。

南側はちょっとさびれているというかのどかでした。やはり郊外店にお客さんを取られているんですかねえ。ゆっくりできて私は好きですけれども。

駅の北側には佐野城跡があります。足を踏み入れると集合時間を忘れてしまいそうなので泣く泣く引き返しました。

駅の改札前で友達と合流して近くのスーパー「スーパーオバナ」へ夜食と飲み物を買いに行きました。

店舗の様子も商品もいかにも古き良きスーパーといった趣です。こういう雰囲気のところ奥多摩あたりにもあったよなあなんて懐かしく思いながら買い物をしました。

ここで友人の一人が栗の袋を見つけ、バーベキューで栗を焼きたいと言い出しました。私と他メンバー、甘栗さえろくに食べたことがないくせに即座に「いいね!」と買い物かごに栗の袋を突っ込みます。惨劇の幕はこうして静かに上がったのでした(詳細は後述)。


葛生駅

バス待ちの間に、駅の近くの「あづま」でお昼にしました。ていうか周辺で飲食できるところがここしかない。でも競争相手がいないからまずいなんてことはありませんでした。らーめんと鶏皮のからし和えがとてもおいしかったです。ごちそうさまでした。


さーのって号

バス停「葛生駅入口」からマイクロバスに乗ると既に地元の人らしいお客さんが何人か乗っていました。そして皆、私たちよりも先に降りていきました。

マイクロバスは右側に切り立った岩山を望みながら奥へ奥へと進んでいきます。心地よい揺れに若干眠くなってきた頃に、あきやま学寮前に到着しました。



古代生活体験村

続いて、いよいよ古代生活体験村の体験談に移ります。


受付

着いたら早速、入口から横穴式住居が見えてめちゃくちゃテンション上がりました。
入口から横穴式住居が見える

まずは写真左手に見える管理棟に向かいます。ここで料金の前払いを済ませ、施設についての説明を受けるのです。

ところで、管理棟に入ってまず目に入ったのがこれ。
貫頭衣体験
こ、古代ロマンの衣服が1着100円……!? いわゆる貫頭衣というやつですか、借りるしかないですね!! 早速着てみたところ、古代人っぽい気分になれました。この服を着て竪穴式住居で生活できるとか天国かよ。

ちなみに管理棟では無料で冷蔵庫を借りられます。また、戸外には自動販売機も設置されています。


竪穴式住居と横穴式住居

古代生活体験村には、先ほど入口の写真で写っていた横穴式住居2棟と、その奥の一段上がったところに位置する竪穴式住居4棟があります。

横穴式住居は部屋の中に洗面台がついていて若干ハイテク。一方竪穴式住居は部屋の中でたき火ができます。

どちらを選ぶかって? もちろん、竪穴式住居でしょう!! たき火と藁ぶきの屋根を間近に見ながら夜を過ごせるって素敵過ぎません!?


竪穴式住居
ということで今回私たちは、竪穴式住居の中で一番新しい「さる」に宿泊しました。
竪穴式住居が立ち並ぶtitle=竪穴式住居が立ち並ぶ
おお~!
さる外観
おおお~~!!
さる内装
うおおおおおお~~ッ!!

す、すげー!! 本当に竪穴式住居だ!!(圧倒的語彙力不足) これが平安時代室町時代くらいまで我々のような庶民が暮らしていた家か!

内装が板の間になっているのが惜しいんですけれども、さすがにそこまで再現するとガチの人しか来なくなるから仕方ないですね。

しかし、意外なことに板の間も布団も清潔(消毒されているらしいです)。電気も通っています。すごい。なんかこう、良い意味でライトなファン向けの体験施設って感じ。

正直、東京近郊の文明社会に暮らす友人たちを連れてきたことに不安を感じていたのですが、これなら普通のキャンプ場とさほど変わらない生活が送れそうです。


横穴式住居
横穴式住居はこんな感じです。
横穴式住居外観

横穴式住居内装

横穴式住居洗面所


火おこし(マイギリ式)

この日は、到着→バーベキュー→風呂→寝る とすさまじくアバウトなスケジュールを立てていましたが、バーベキューの食材が用意される時間まではまだ余裕があったので、どうせなら自分たちでおこした火でバーベキューしたいねと言い合い、管理棟で火おこし体験の道具を買うことにしました。

管理棟では以下の4つの方法で使う道具が販売されています。

  • キリモミ式
  • ヒモギリ式
  • ユミギリ式
  • マイギリ式

私たちはどの方法に挑戦するのが一番楽しいか話し合いました。その結果、
マイギリ式の火おこし器
マイギリ式にしました。上記の中では一番労力をかけずに火を起こす道具で、そのぶんちょっと割高です。

一番簡単なやつにするとかブロガー(笑)としてどうなんだ! とヤジが飛んできそうですね。言い訳をさせていただくと、私は他の3つの方法に挑戦して地獄を見た経験があるため、初体験の友人にはそんな思いをさせたくないと考えたのです。

さて、挑戦してみたところ、残念ながら火をおこすところまではいけなかったですけれども、周囲を存分にきな臭くすることができました。……火おこしの説明書に書いてあったんですよ、「きな臭くなってきたら~」って!(笑) 「きな臭い」は、今では「ひと騒動来そう」をちょっとしゃれた言い回しにする用法でしか使われないような気がしますが、昔はもっと身近な言葉だったのかもしれないなあと思いました。

なお、火おこしに成功しても、竪穴式住居のたき火には使わないでくださいと職員の方からは言われました。運搬する過程で住居に火がつく危険があるからとのこと。古代生活体験村に行こうと思っている方はご注意ください。


バーベキュー

火おこしの火でバーベキューなんて夢のまた夢であることがそろそろ分かり始めた私たちは、「さる」の前の少し開けたところにバーベキューの道具を用意し、支給されたチャッカマンを使って火をつけました。あっという間に燃え上がる炎。文明って偉大ですね。


アウトドアな活動にあまり慣れていない私たち一同、炭の置き方やら火の強さやらに難儀しながらもなんとか食材を焼くところまで漕ぎつけます。
周囲が暗い中でバーベキューをした
なんか暗くない!?

そうです、「さる」の周辺だけなぜか電灯がなくてめちゃくちゃ暗いのです。持っててよかった、懐中電灯!

基本的にバーベキューは自分の棟の近くで行ってくださいと言われたためその通りにしましたが、翌日お話を伺ったところ、この日は私たちの他に屋外でバーベキューをやる団体がいなかったので、電灯のある他の棟の近くに移動しても構わなかったとのことでした。もっと早めに聞いておけばよかったなあ。

でもそれ以前に、こんなに早く、何も見えないくらい暗くなる、そしてとても寒くなるなんて、インドア派休日ニートな私は思ってもいませんでした。つくづく、私たちはすごく便利な生活を送っているのだと実感しました。


ところで、暗いから気分も盛り下がるなんてことはなく、私たちはむしろノリノリでした。

用意してもらった食材を食べ終えた後、佐野駅のスーパーで買った栗を焼き栗にすべく、皮に切れ目を入れて炭の中に直接投入! 切れ目を入れたのは、加熱されることによって膨張した栗内部の空気の脱出口がないと爆発するから(byインターネットの情報)です。

ここで友人の一人が、「これってまさに火中の栗じゃね?」と言い出します。「火中の栗を拾う」とは、もとはフランスのことわざで「他者の利益のためにあえて危険を冒す」という意味(火中の栗を拾う(かちゅうのくりをひろう)の意味 - goo国語辞書)。よく考えると本来の意味とは全然関係のない状況ですが、お酒も飲んでいないのになぜかテンションの上がっている私たち一同、確かに火中の栗だねあっはっはと笑っていました。すると……

パァン!!!

炭の中に入れていた栗が火花を散らして爆発しました。ちゃんと切れ目入れたのに!?

確かに、インターネットで調べた限りでは栗は網の上に置いて焼いていて、炭火に直接入れている例はありませんでした。意味は違うけど、やっぱり火中の栗は危険なんだなあ~と一同深く納得しました。
網の上で栗を焼く
それでも焼き栗を食べたいという衝動は収まらず、おとなしく網の上で焼くことにしました。なるほど、こうして人は賢くなるのですね。ちなみに写真の奥の方にあるのが火中に入れてしまった栗です。

これ以降しばらく、私たちの間では「火中の栗」というワードが流行していたのでした。皆様、くれぐれも危ないのでマネしないでくださいね!


たき火

バーベキューを終え、お風呂に入った後、私たちは住居の中でたき火をおこしました。もちろんチャッカマンを使いましたとも。
竪穴式住居の中でたき火
電気を消すと、ただたき火のみが仲間の姿をわずかに暗闇に浮かび上がらせ、薪のパチパチはぜる音と戸外の虫の鳴き声が耳に迫ってきます。

ここで本当は私が原始人TRPG『Og』を用意してきてみんなで原始人になる予定でした。が、色々忙しくて死にそうだったため準備ができずご破算になりました。無念。(参考:世界で最も語彙力のない、原始人TRPG「Og」リプレイ。 - Togetter

しかし、たき火を囲んでぼんやり過ごす夜というのもなかなかオツなものではないでしょうか。調子に乗って薪を入れまくって火花が飛んでくるといったハプニングもありましたが、私たちはとりとめもないことを話して笑い合い、やがて各々眠りにつきました。

寝るときに灰をかけたため姿を消したように見えた火は、その後も灰の下で長い間パチパチと音を立てていました。たき火の音ときな臭さに包まれて眠る夜は、遠い先祖の生活の記憶を思い出させてくれるような気がしました。


夜空

お茶を飲みすぎたせいか、私は夜中に数回トイレに立つ羽目になりました(笑)。和式トイレ嫌だわ~なんて思いながらも、背に腹は代えられません。

ある時、トイレから帰ってふと空を見上げると、そこには満天の星空が広がっていました。そうか、ここは周囲に明かりがなくて標高も高いから星がたくさん見えるんだ! こんなにいっぱい星を見たのはいつ以来でしょうか。

草木も仲間たちも寝静まった夜の闇の中、私は本当の古代人になった気分で星空を見上げていました。



古代人体験を終えて

上記の記事で紹介されているのを見て、正直あわよくば世間話のネタにしようかな程度の気持ちで行ったのですが、大当たりでした。ていうか、くだらん世間話のネタに留めておくにはもったいなさすぎます。

古代の生活の雰囲気をかなりお手軽に体験できるので、歴史好きかつアウトドアな活動に抵抗のない方にはぜひ一度行ってみてくださいと声を大にして言いたいです。


今回私たちは時間の関係上利用しませんでしたが、古代人の生活をその道のプロと一緒に体験できるプログラムもあります(下記記事参照)。そちらを利用すれば、きちんと火のおこし方も教えてもらえて、より一層古代人っぽい生活を満喫できるかもしれません。


私はこの施設がとても気に入ったので、和式トイレにも火中の栗にも負けず、また古代のロマンを味わいに訪ねてみようと思います!