星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

【総評】進撃の巨人 死地からの脱出【ネタバレなし】

まだハンジ~エルヴィンルートの感想を書いていませんが、一通りクリアはしているのでネタバレなしの総評を書くことにしました。

一言で言うと、進撃の巨人のキャラクターが好きな方にはぜひともオススメしたいゲームです。



※ネタバレあり感想:
リヴァイ、ミカサ、アルミン
エレン、コニー、サシャ、ジャン




はじめに:よくあるご質問

ここだけ読めばおそらくだいたい分かる『死地からの脱出』!


Q. 女性向けなの?
A. 主人公の性別は選べますが、ところどころの演出が女性向けのように思います。男性はプレイするのがつらいかもしれません。


Q. 主人公はどんな子?
A. 座学が得意な、芯の強い子です。プレイしていてイライラすることはほとんどありませんでした。


Q. 相棒キャラと恋愛できる?
A. 残念ながら恋愛までは辿り着けません。でも想像のしがいはあります。


Q. ストーリーは面白い?
A. 面白いです。進撃の世界の一員として存分に活躍でき、進撃のキャラたちと仲良くなれます。


Q. 謎解き(シナプスリンクなど)は難しい?
A. 簡単です。だいたいのものは、分からなくても総当たりすればなんとかなります。


Q. 戦闘時の操作(バトルアクト)は難しい?
A. 大部分は簡単です。時間制限で焦ってしまうかもしれませんが、落ち着いてやればきっとできます。


Q. 相棒キャラは自由に選べるの?
A. 選べません。最初は女性主人公だとリヴァイ、男性主人公だとミカサ固定で、その後もルート解放されたキャラ全員をクリアしないと新しいキャラは選べません。


Q. おすすめのキャラは誰?
A. アルミン、ハンジ、ベルトルトがおすすめです。


いかがでしょうか? 購入を迷っている方の参考になれば幸いです。

下記リンクよりご購入いただけます。


以下でさらに詳しく書いているので、よろしければ見ていってください。




キャラゲー要素 ★★★★★ 5/5

推しキャラであるベルトルトのルートには無論大満足なのですが、他のキャラの魅力も再認識させてもらいました。特にエレンについてはガラッと印象が変わりました。



キャラ崩壊がない

乙女ゲー風味にするために性格を改変されていることは一切ありません。全く原作通りで安心しました。殊にライナーの兄貴感は完璧だし、サシャとハンジのぶっ飛び具合は素晴らしかったです。

また、コンビになっているライナー&ベルトルトとユミル&クリスタのルートは、お互いを大切に思っている様子がよく伝わってくる話になっていました。ここらへんは明らかに最近のアニメの展開と絡めているんでしょうね。



相棒とのやり取りが楽しい

このゲームの醍醐味は、探索の合間の主人公と相棒キャラの掛け合いとブレイクタイム(お話タイム)。


ストーリーの要所要所でアドベンチャーゲームらしく選択肢が出るのは当然ながら楽しいです。まさか進撃キャラ相手に台詞を選ぶ日が来るとは思っていませんでした。


ブレイクタイムは特定の状況下で発生します。おしゃべりできることは探索中に「話題」を見つけることでだんだん増えていきます。

話題は、他のキャラクターの印象や巨人についてなどの一般的なものの他、例えばリヴァイなら「信頼するアレ」や「リヴァイ班」、アルミンなら「外の世界」や「祖父」など、かゆい所に手が届くラインナップです。ニヤニヤしたり、爆笑したり、切なくなったりします。

また、好感度によって話の濃さが変わるため、心を開いてくれてるんだなあという実感が湧いて嬉しくなります。
なお、ブレイクタイムはコンビであっても1人ずつに分かれているのでご安心ください。



おまけが充実している

各ルートクリア後に解放されるフルボイスのスチル付きオリジナルストーリーがとても良いです。和気藹々とした104期の姿を見られます。
特に良かったのは、アルバムで言うとストーリー11とストーリー25です。何やってんだこいつらwwwって爆笑できます。

加えて、アルバム内のスチルについてくるコメントも秀逸です。ゲーム本編の方にも、おまけのオリジナルストーリーの方にも誰かがコメントを入れてくれます。
私のイチオシはストーリー21の2人のコメントです。認識の相違が甚だしいところが好きです。




ストーリー ★★★☆☆ 3/5

『進撃の巨人』の登場人物になれる

今回のプレイヤーこと主人公は、神視点の観察者でも、エレンとミカサの痴話喧嘩を暖かく見守るモブでもありません。

彼女/彼は、エレンたちと一緒に訓練兵団を卒業してトロスト区の地獄を味わった104期生、かつ、それでもなお調査兵団に志願した命知らずです。
古城の探索においては、巨人の気配が分かるというミケさん並みの能力を発揮して相棒キャラに引けを取らないほど活躍し、相棒キャラとの間に確固たる信頼関係を築きます。
このように、だいぶ進撃の世界に食い込んだキャラになれるのです。最高ですね!!



少々金太郎飴かも

何せ一様に古城からの脱出を目指すわけですから、筋書きが似てしまうのは否めません。
展開は単調で、探索→巨人が来る→隠れるorボタン操作で戦う→探索→巨人が来る→…の繰り返し。
ただ、同じような場面でも、キャラクターの反応にそのキャラらしさがきちんと出ていてあまり飽きることはありませんでした。



乙女ゲーっぽいが乙女ゲーではない

特に男性キャラに顕著ですが、言動が原作に忠実でありながらも時々乙女ゲーです。
調査兵団という組織の特質上、身体接触が多いのをいいことに(?)、探索中に手を繋いだり、壁ドンされたり、意味深なことを言われたりします。スチルもそのような場面のものが多いです。


しかし、プレイヤーとしてはドキドキしますが、主人公も相棒キャラも全く動じません(とあるキャラ以外は)。


つまり、見た目は乙女ゲーっぽいけど、あくまでそれっぽいだけということです。キャラ崩壊させないことを考えればそこまでが限界なのでしょう。
こうなってしまった理由は2つ考えられます。
第一に、多くのキャラは恋愛した時点でキャラ崩壊になってしまうから「それっぽくする」のが限界なのでしょう。
第二に、調査兵団では仲間をかばうためならハグや壁ドンくらい普通だろうし、恋愛フラグは死や決別によって次々と叩き折られるもの。ハンナとフランツのような吊り橋効果(?)が起こる確率は稀なのではないでしょうか。

ただ、前述したようにシチュエーション自体は乙女ゲー感満載ですし、その行動をした真意は? この古城から脱出した後の2人は? など色々と考える余地は残っていますので、乙女ゲーを求めてプレイする方でも満足できそうです。


でも個人的には、恋愛しないならそれっぽいシチュエーションを無理にねじ込む必要はなかったのではと感じました。ここまで思わせぶりなのに何もないのはなんだかもやっとします。

ちなみにこの乙女ゲーっぽいシチュエーションは相棒キャラと同性の主人公でプレイしていてもだいたい発生します。ゆえに、多くの男性プレイヤーにとっては厳しい戦いになるかもしれません。



古城の謎はそんなに凝ってない

今回の舞台「エルズニル城」に眠る不穏な謎は、日記や紙切れなどの断片的な形で主人公たちの前に現れます。ルートごとに出てくるものが違っていて、全てのルートをクリアすることで真実に辿り着けます。

この真実自体は原作の設定を組み込んでいて面白いです。
でも、序盤で出てきた情報をもとにちょっと考えるとだいたい全てを察してしまうため、原作のような伏線だらけで最後まで考察しがいのある感じを期待すると拍子抜けすると思います。あまり深いこと考えずにプレイすることを推奨いたします!(笑)



追加コンテンツが思ってたのと違う

『進撃の巨人 死地からの脱出』限定エピソードを収録した追加コンテンツが6月15日より配信決定 - ファミ通.com
公式告知ページ

エレンやミカサなどの昔のエピソードが語られるばかりで、全くこのゲーム関連のエピソードがありません
正直なところ、まだ微妙に解決できない謎があったり、今後の展開を知っていると色々気になることがあったりするため、主人公をメインにした本作の後日談が欲しかったのですが……。




脱出・アクション要素 ★★☆☆☆ 2/5

ゲームのタイトルとシステムから、いわゆる「脱出ゲーム」かなと思われるかもしれません。
また、原作漫画およびアニメがアクションを売りのひとつにしていることを考えると、戦闘描写にも期待が高まります。

が! これらの点だけを目当てに買うのはやめた方がよいです。私は期待値を上げすぎてがっかりしてしまいました。



脱出ゲーム要素はヌルい

メインの謎解き(シナプスリンク)も他の謎解きもわりと簡単で、脱出ゲームや脳トレ系ゲームをやり慣れている方は物足りなく感じるでしょう。ほとんどのものには制限時間もありません。
特に、シナプスリンクは相棒キャラの好感度が高ければ間違ってしまった時に1度だけ直してくれるのでヌルいです。



戦闘シーンは描写がふわっとしてる

アクションものの派生作品としては致命的ではないかと思うほど迫力がない
基本的に会話と主人公のモノローグで構成されているのであまり詳しく描写を入れることができないのかもしれませんが。
まあ最低限の状況は把握できる程度にはなっています。




操作性 ★★★★☆ 4/5

1周のクリア時間は1時間半程度

私はボイスをガンガン飛ばす派なので、きちんと聴く方はもう少しかかるかも。
初めは短く感じましたが、よく考えるとこれが11ルートあるので妥当な長さだと思います。



安定の既読スキップ機能

スキップ速度を最速に設定しているとほぼ一瞬でスキップできます。



誤字脱字は気にならない程度

誤字脱字はほんの少しありました。が、気にしなければ読み飛ばしてしまう程度です。
いつものことながらルビーパーティーは仕事が丁寧ですね。



やっぱりパートボイス

パートボイス=重要なところにだけボイスを付ける手法はルビーパーティーではよくあることなので不満は感じません。
ただ、このゲームは話に切れ目がなくてどこが重要かはっきりしないので、ボイスがいきなり入ったり消えたりでびっくりします。



ヒントが若干不親切

シナプスリンクのヒントは主人公がきちんと書き留めておいてくれますが、それ以外の仕掛けを解くためのヒントはなぜかそのままスルーされることが多いです。
離れた部屋の仕掛けに関するものだと確認しに戻るのが面倒だし、たまに戻れなくなったりして困ります。

まあ、自分の手元の紙やスマホにメモしておけば済む話ですね。履歴にも記載されないので、プレイする際はくれぐれもメモをお忘れなく!



ルート制限がある

最初はリヴァイ(女性主人公)かミカサ(男性主人公)で始まります。
リヴァイをクリアしたらアルミンとミカサ、ミカサをクリアしたらエレンとリヴァイのルートが解放され、それ以降はプレイ可能な全員のルートをクリアすることで、次のキャラのルートが解放される仕様になっています。

そのため、全キャラおしなべて好きであれば問題ありませんが、特定のキャラにしか興味がないとか、メインキャラの中に苦手な奴がいるとかだと苦痛に感じるかもしれません。




イラスト ★★★☆☆ 3/5

失礼を承知で言うと、原作漫画に比べれば文句なしのクオリティです。
ただ、アニメを見慣れている方にとってはビミョーかもしれません。

立ち絵の表情と格好がキャラによってはお前何があった!? って感じです。そのうち慣れてどうでもよくなりますけど。
スチルも時々雑な印象が拭えません。こちらは3DSの画質が悪いからという可能性がなきにしもあらず。なぜVitaにしなかったのか。

結論としては、3DSクオリティであることを覚悟しておけば大丈夫です。
トレジャーBOXについている設定資料集なら綺麗なスチルが見られるかもしれませんね。私はダウンロード版を購入したことを少し後悔しました。設定資料集だけ単体で発売してくれないかな~。




BGM ★★★★☆ 4/5

シリアスなストーリーによく合う荘厳な曲が多く、気分を盛り上げてくれました。神曲というほどのものはありませんが。
一番気に入ったのは最初のキャラメイクの時の讃美歌っぽい曲です。




主人公

プレイヤーの分身となる主人公についてご紹介します。



基本的に頭が良い

TPOを弁えた選択肢が多く、好感が持てます。
ただ、リヴァイルートのみこンのヤロ~!と思う時があります。



性別を選択可能

女性か男性かを選べます。

しかしながら、どちらを選んでもイベントの内容に違いはありません。台詞が少し変わるくらいです。前述の通り乙女ゲーっぽいシーンは同性主人公でも余裕で出てきます。

性別を決められる方が感情移入しやすいのは確かですが、原作にはハンジやナナバさんみたいに性別不明のキャラもいるし、いっそ性別不明でも面白かったんですけどね。



男性主人公について

女性主人公と一人称(私)、口調(~だな、~だよ)ともに変わりありません。

プレイヤーが自己投影するタイプの男性主人公の一人称が「私」って、かなり珍しいですね。私は好きですよ。中性的な男性が「私」と言ってるのを見ると萌えるので。
喋り方がリアルの若者に近い(男言葉っぽくしていない)のも良い。

まあ、制作側に特に意図はなく、テキストを変えるのに手間がかかるから変えなかったってだけだと思いますが。



スチルが残念

なんと、スチルにはことごとく主人公の目と眉毛が描かれていません

顔立ちや表情を自由に想像できるため、こういうタイプの主人公が好きな方も多いかもしれません。

しかし、私は「一昔前のギャルゲの主人公か!?」って出てくるたびにツッコミを入れていました。相棒キャラと一緒に戦っているシーンとか笑っているシーンとかにちゃんと表情が入っていた方が「相棒キャラと本当に仲良くなれてる」って思えるんじゃないでしょうか。というかのっぺらぼう怖いんだよ!!
普通に中性的なイケメンに描いてほしかったなぁ。




各ルートの一言紹介

独断と偏見による全ルートの一言紹介を行います!
リヴァイ 不愛想な顔をしていても仲間思い。
ミカサ エレンへの想いはもちろんリヴァイへの憎悪をお見逃しなく。
アルミン 脱出を目指す過程で互いを対等に支え合い、友情を育める。
エレン その純粋さとひたむきさに庇護欲をそそられる。
コニー 馬鹿だけどめっちゃいい奴なのが再認識できる。
サシャ 期待を裏切らない面白さ。
ジャン 指揮官としてのジャンの資質を垣間見られるルート。
ハンジ 意外と頼もしいハンジと、やっぱりぶっ飛んでるハンジの両方を堪能できる。
ライナー&ベルトルト ライナーの危うさとベルトルトの苦悩を実感できる。ベルトルトが「こいつ……喋るぞ!」状態なのでベルトルトファンの皆様はストーリーもブレイクタイムもお楽しみに!!!
クリスタ&ユミル 2人がとにかくラブラブなのでおいしい。
エルヴィン 頼りになるけど怖い、さすが団長。




まとめ

マイナス要素も少々見受けられますが、それらを補って余りある長所があります。

  • 進撃キャラとキャッキャウフフできる
  • オリキャラとして進撃の世界に入り込める
  • おまけのオリジナルストーリー

これらは進撃の巨人ファン、特にキャラが好きな方にはぜひ体験していただきたいです。




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各ルートの感想も書いています。よろしければご覧ください。







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