皆様こんにちは。赤城です。
『進撃の巨人』28巻を読んだので感想と考察を書きました。
※他の巻の感想はページ下部の「関連記事一覧」からご覧いただけます。
感想
まずは、全体と各話の感想をお伝えします。全体について
28巻では、サシャの死を巡る物語が一段落しました。未だに彼女が死んでしまったのはショックですが、彼女のおかげで残された人々がわずかに明るい方角を目指そうとしているのに救われました。特にブラウス夫妻がすごい人格者だったのが嬉しい驚きでした。そのおかげで、彼女を殺した張本人である、「島の悪魔」に対する憎悪でガッチガチだったガビにもわずかに変化の兆しがあるように思いました。また、今回もガンガン伏線が回収される巻となりました。巨人化能力者の記憶、アッカーマン一族の能力とミカサの頭痛、ジークの過去と真の目的などなど。詳しくは個別の感想にて書きます。
さらに、ずっと気になっていたエレンの真意(?)も明かされました。と言っても、私はあれは絶対にミカサとアルミンをわざと怒らせてるだけだと考えていますけど。なあ、最後には騙して悪かったなって屈託なく笑ってくれよ、エレン。お願いだ。
さて、以下より個別の感想を述べていきます。
単行本の表表紙はifか現実か?
ifですね。こんな綺麗に捕獲してはいなかったので。
ていうか左側の巨人の残骸、誰のだ? 獣の巨人じゃないですよね?
第111話 森の子ら
- エレンに降参すると言うピクシス司令
お? これは意外な展開。まあピクシス司令は穏健派だからなあ……とか思っていたらやっぱり裏がありました。
- アズマビト家はパラディ島への投資が頼みの綱
ミカサとキヨミ様の会話からはそのように読み取れます。意外と厳しい状況だったんですね。でもよく考えてみれば、エルディア人に肩入れするなんて全世界を敵に回す大博打です。相当切羽詰まってなければそんな行動には出ないでしょう。逆に言うと「地鳴らし」の効果が有効と分かったら一人勝ち状態ってことかも。ハイリスク、ハイリターンってやつか。
- ニコロのレストランに家族全員で押しかけるブラウス氏
せっかく無料なんやから
ってw いやあ、まさかこんな大人数で来るとはニコロも思わなかっただろうな。やっぱりサシャの父親ですわ。みんな涙流して食べてるのがウケる。本当に美味しいんでしょうねえ。美味しすぎるせいでファルコが大事なひらめきをスルーしちゃってるよ(笑)。
- ニコロがジャンからワインを取り上げる
これはあからさまに怪しい。絶対なんか入ってるだろ。当初は毒かと思っていたけど、そんな単純な話じゃなかったね、進撃の巨人って。
- ニコロとガビ、ファルコの邂逅
最悪の出会いktkr。最悪の台詞を最悪の人物に叩きつけるガビさん。そしてファルコがガビを庇うのはもはや既定路線ですな。
- ニコロ
このクソみてぇな戦争から俺を救ってくれたんだ…
サシャああぁぁぁ!!(号泣) クソッ、これでもかとばかりに眩しい笑顔でピザ食ってやがる。そうさ、サシャの存在は私にとっても大きな救いだったよ……この漫画の数少ない癒やし要素だった……。でも、彼女がマーレで作戦のためとはいえ門番のおじさんたちを撃ち殺したことも事実なんだ。だからニコロの気持ちもガビの気持ちも理解できる。つらい。
- 世界は命の奪い合いを続ける巨大な森の中
狩人ならではの捉え方ですね。全く、その通りです。今はエルディア人なら誰もがその悪夢の中で生きざるをえないんですよね。サシャ父の言うように、せめて子供たちだけは、物語が終わる頃にはこの悲しみの連鎖から解放されることを願っています。特に、カヤにはぜひ憎しみに負けず頑張ってほしいです。サシャが彼女の目に灯した光が消えてしまったりしたら嫌ですよ(涙)。
いや~しかしブラウス夫妻はマジで人間ができてますね、食い意地は張ってるけど(笑)。進撃の巨人のキャラは、一部の特殊なキャラを除いて、怒りや憎しみ、絶望に染まると本能のまま衝動的に行動する印象があります(それがリアルで良いと私は思っています)。しかし、彼らは娘を殺した者に対する憎悪を超克もしくは抑制しています。おそらく狩人として厳しい自然と向き合ってきたからこそこのような物の見方ができるのでしょう。
- ワインに入っているのはジークの脊髄液
ナ、ナンダッテー!!? ファルコ完全に飲んじゃったじゃん。どうすんのこれ!?
第112話 無知
- 兵団組織高官に脊髄液入りのワインを飲ませる作戦
なるほど、兵団を指揮する立場にある高官の多くが巨人になれば、単純に兵団内外に大きな被害をもたらせるだけでなく、その下の兵士たちに命令を下せる人間もいなくなって組織が混乱に陥り、おそらくは壊滅するってわけか。頭良いな(白目)。「脊髄液を飲んだら硬直する」が嘘だったとは思いませんでした。27巻110話でピクシス司令は、上手い嘘のつき方は、時折事実を交ぜて喋ることと言っていました。あれはちょうどジークがラガコ村の巨人化の様子をリヴァイに語っていた回でした。見事な伏線回収です。おのれジーク。
この事実をまずは脅しとして使うつもりか本当に実行するつもりかは、今のところ判然としませんね。
- アルミンがガビに
誰かとそっくりだ…
と言っているところにエレン登場
やっぱりガビとエレンがわざとキャラ被りするように描いてたんですね。つーか何しに来た、エレン!?
- フロックたちは全て知っていた
調査兵団の内部分裂っぷりマジでヤバいな!? もはやエルヴィンが団長やってた頃とは別物の組織になってしまっていて悲しいです。もっとも、ハンジや幹部たちの統率力がないからではなく、状況が変わったからだと思いますけど。にしてもフロックめ、初登場時はただのモブで終わると思ってたのに大出世してやがる……104期贔屓の私としては複雑な気分だ。
- エレン
アルミン…お前の脳はベルトルトにやられちまった
過去の巨人化能力者の記憶に現在の能力者が引きずられると主張している模様。さもありなんという感じ。言われてみれば、ベルトルトを食べてからこのかたアルミンが良い作戦を思いつくことはなかった気がします。しかし、世界を敵に回していると判明したのでこれまでとは問題の難しさが段違いですし、少なくとも起こってしまったことに関しては適切に分析して対処していると思います。
さらに、例えアルミンの脳がベルトルトに影響されて劣化(?)しているのが真実だとしても、エレンは本心から罵っているのではなく、露骨に挑発しているように見えます。シガンシナ区奪還作戦あたりまでの彼が言っていれば本心からだろうと断定できますが、マーレでライナーと相対した時の悟りきったような表情を思い返すとどうも腑に落ちないのです。彼は自分の中で考えている作戦のためにアルミンとミカサをあえて自分と敵対させようとしているのではないかと感じます。
もしかしたら、アルミンがベルトルトに影響されているのと同じく、エレンもマーレで食べた戦槌の巨人に影響されているのかもしれませんが。
- アッカーマン一族の能力の謎が判明
エレンによると、アッカーマン一族はエルディア人の中にある巨人の能力を人の姿のままで一部引き出せる能力を持っている。①諸条件を満たすと身体能力のリミッターが外れる、②誰かを宿主と認識し護衛する、③頭痛は本来の自分が②に抵抗したとき引き起こされるとのこと。つまり、ミカサのエレンへの執着は、本来の彼女が望んだものではなく、アッカーマンとしての習性に強いられて生じたものだったというのです。彼女のエレンを想う気持ちは偽物。そもそも、両親を殺害されてから後の彼女自身が、アッカーマンとしての習性でエレンを守るために生きてきたので偽物。エレンに言わせると不自由、奴隷や家畜のような生き様。これまたさもありなんって感じです。まあ嘘が含まれてるかもしれませんけど。
なお、②が本当だとすると、リヴァイが誰を宿主と認識したのか地味に気になります。その人が今も生きているのならキーパーソンになる可能性があるかも。
- エレン
オレは…ガキの頃からずっと ミカサ お前がずっと嫌いだった
ミカサのエレンへの執着がアッカーマンの習性によるものだったとしても、奴隷とか家畜とか、極めつけのこの一言は絶対に本心ではなくミカサとアルミンに対する露骨な挑発だと私は思います。そりゃミカサは泣くしアルミンは怒るわ。進撃の巨人の作中で、エレンはミカサに対して恋愛感情こそ抱いていないものの、姉か妹のように大切な存在だと思っている節は多分に見受けられました。確かに、自分の唯一の家族だから大切にしなければいけないと無理に思い込んでいただけで、無意識下では大嫌いだった、というのはよくある話です。でも、少なくとも15歳までのどストレートな性格のエレンに限ってそれはないと信じたいです。
- アルミン
結局何が…言いたかったんだよ…?
マジでこれ、アルミンたちから見ると何がしたかったのあんた、って感じなんですよね。ただ自分たちの能力の情報を一方的に教えられて愚痴られ罵られるだけという不条理。でも、私はエレンが本当にそれだけのためにわざわざ彼らと話したとは思えません。彼にはきっと何か計画がある、そのためにミカサとアルミンにわざと嫌われるような言動を取った、はずです。
- ジークの見張りの兵士たちが無知性巨人になった
うん。ジーク側に場面が移った時点でなんとなく覚悟はしてた。もはやこの程度の人数ならリヴァイは絶対に切り抜けられるのでその点は心配しませんが、リヴァイの背負う仲間の死がまた増えてしまうんですね……。
気になること
- エレンの高圧的な態度の理由
第113話 暴悪
- ジーク
なぁエレン…俺達にしか…わからないよな
エレンも自分と同じ志を持っていると信じて疑っていないみたいです。いやあ、それはどうでしょうか。27巻108話でアルミンが言っていたように、意思決定権は始祖の巨人を保有するエレンの方にあるのですから、エレンは彼に従っているふりをしておいて実際には全然違う行動を取ることもできるわけです。そのためにはミカサたちさえ欺く心づもりでいるのかもしれません。
- ピクッ
って効果音がリヴァイとジークの戦闘シーンの最後にありました。何か意味があるんでしょうか。実はまだ巨人が1匹生きてるとか……? 考えすぎかなあ。
- 訓練兵たちに痛めつけられるキース教官
かつて戦端から遠ざけようとしたエレンが今や急先鋒イェーガー派のリーダーになり、自分は淘汰すべき悪習そのものと決めつけられ痛めつけられる。なんとも皮肉な運命、というか最初から最後まで可哀想な人だなキース教官。最初期の鬼教官のイメージどこいった。
- ハンジに対して、フロック
オイ…行くぞ
こいつ……調査兵団の団長に向かってタメ口きいてやがる……! もうお前なんか上司じゃないってか? フロックのくせに生意気だぞ!
- ジークの両足をブレードで斬るリヴァイ
うわぁ、相当怒ってる。あんなことされたので当たり前っちゃあ当たり前ですが、リヴァイは怒りで我を忘れてやり過ぎることがありますよね。今回も、意識が朦朧としたせいでジークがクサヴァさんのことを思い出し、結果的にヤケを起こさせてしまいました。ちなみに足を斬っているときの効果音は「バスガスバクハツ」。何度も言ってるけどシリアスな場面にギャグ効果音ねじ込むのやめーやw(好きです)
- クサヴァーさん登場
う、うわー! 22巻87話に出てた眼鏡の人だー! あのときはジークの身体の影に隠れてて分からなかったけどマーレの戦士の腕章してたのか!ジークが掛けてたのってこの人の眼鏡だったのね。視力のいい人が度の入ってる眼鏡掛けると気持ち悪くなると思うけど大丈夫?(マジレス) レンズ抜いて伊達眼鏡にしたのかな。
気になること
- エレンとジークは同じ志を持っているか
第114話 唯一の救い
- ジークの両親と祖父母との生活ぶり
どっちのところにいてもつらそうです。両親はジーク自身のことを全然考えてくれていないし、祖父母はジークを大切にしてくれてジークの本心を理解してるけど両親が教えるのとは正反対のこと言うし。こりゃあ病みますわ。そんな彼をどちらの立場からでもなく励ましてくれるクサヴァーさんのいい人感が半端ない。ただ彼も純粋な善人ではなく、やはり闇を抱えていたのでした。こうして見るとグリシャは実にクズ親だったと再認識しますが、彼自身も散々辛酸を舐めた結果ああなったので、あまり責める気にはなりません。
- キャッチボールで交流を深めるジークとクサヴァー
キャッチボールとはジークにとっての大切な人との絆の象徴と考えられます。エレンがマーレの戦傷者収容施設でグローブとボールを持っていたり、ジークとコルトがキャッチボールしたりしていたのはそういうことだったんですね、たぶん。
- 両親の告発をジークに勧めるクサヴァー
相当葛藤したであろうことが見て取れます。クサヴァーさんはおそらく、グリシャたちの気持ちもある程度は理解できたのだと思います。が、あえて、息子と重ねているジークを助けるために、ジークの両親を徹底的に悪し様に言い、ジークにとって分かりやすい敵に仕立て上げたのでしょう。その結果ジークが失うものは全て自分が補う覚悟で。
- 始祖の巨人ならユミルの民の体の構造まで変えることができる
どんな超能力だ。すごいな。パラディ島の壁の巨人もこの力で作られたのですね。
- ユミルの民が子供を産めなくなるようにすると言うジーク
これがジークの真の目的だったんですね。天 才 か。もちろん非人道的な方法ではありますが、実際エルディア人を絶滅させるには一番効果的だと思います。前回あたりで「ジークは自分の祖父母とエレンと自分自身の身の安全しか考えてない」的なこと言ってすみませんでしたジークの兄貴。ちゃんと全エルディア人のこと考えてましたね。
もしエルディア人を絶滅させないで問題を解決するのであれば、始祖の巨人を含めた全巨人化能力を消すのもアリだと思います。エレンはもしかしたらそっちの方を目指していたりして? しかし、その結果、全世界のエルディア人に対する憎悪と差別が消え去るかと言われれば、そんなことはないだろうしなあ。本当にどうするつもりなのだろうか(もはやエレンとジークの思惑がすれ違っていること前提)。
- ゾクッとするリヴァイ
27巻110話のザックレー総統が爆殺される場面の直前でもミカサがゾクッとしてましたね。アッカーマン特有の危険予知能力かもしれません。
- 自ら雷槍を爆発させるジーク
最後の見開きの大コマでリヴァイの言った通り上半身と下半身が真っ二つになっています。慣れてるとは言え、さすがに痛そう。リヴァイは死にはしないでしょう。この様子だと川の中に落ちて衝撃は緩和されそうです。ただ、左手左足は問題なくっついてますが、右手と右足が……体に遮られて見えないだけだといいんですけど……。
気になること
- リヴァイが負傷していないかどうか
嘘予告
ここでもやっぱり死は免れないマルコ。アルミン「確かいたよねそんなヤツ」って薄情すぎワロタ。21巻の嘘予告ではマルコはアルミンのオタク仲間として紹介されてるのに。エレンは本当はミカサのことが好きだよね、うん分かってる。でもスクールカースト世界線では全くそんなふうには見えないんだけどw
本当の予告
ま、毎回大げさに煽ってることは知ってるんだからね! 素直に言いなさいよ、リヴァイは生きてるって!考察
読んでいる中で出てきた疑問について、自分なりに考察しています。解決しなかったことは次巻以降に引き継がれます。27巻以前の引き継ぎ
27巻以前の考察から、今回なんらかの進展があったものだけを抜き出してきました。- 「アッカーマン」の秘密(93話)
詳しくは112話の感想参照。
- エレンがジークの持っていたのと同じ野球のグローブとボールを持っている(98話)
向こうでジークと会ったときにキャッチボールをしながら話したんじゃないかと推測されます。
- イェレナのマーレ人に対する態度の変わり方(110話)
兵政権に反旗を翻す際のコマとして必要だったからっぽいです。利用した後はどうなるんですかね?(ガクブル)
新しい疑問、伏線
具体的に何が気になったかは各話感想で詳しく書いたので、ここでは列挙のみ。- エレンの高圧的な態度の理由(112話)
本気じゃなくて演技で言ってるに一票。
- エレンとジークは同じ志を持っているか(113話)
ジークは信じて疑っていないみたいですが……。
- リヴァイが負傷していないかどうか(114話)
右手と右足が不安です。
感想は以上です! 最後までお読みくださりありがとうございました。
ちょっと飛んでしまうのですが、31巻の感想はこちらの記事に書きました。
22巻~の感想も書いていますので、よろしければ以下の「関連記事一覧」からご覧ください。
ヤンジャンで連載中の『ゴールデンカムイ』の感想も書いています。進撃に負けず劣らず熱いです。
※この文章は、赤城みみる(Twitter ID i14wander、はてなブログID i14wander)により執筆され、赤城みみるの所有するブログ「星を匿す雲」(http://cqs4live.hateblo.jp/)(http://cqs4live.hateblo.jp/archive)に掲載されているものです。著作権法32条で定められた要件を満たさず行われる転載は、著作権法21条に違反します。
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