星を匿す雲

主にTVゲーム、漫画、小説、史跡巡りの感想を書いているブログです。基本的に【ネタバレあり】ですのでご注意ください。

【紹介】歴史群像劇RPG『ジルオール インフィニット プラス』:あなた好みの、自由な旅を!

皆様こんにちは。赤城です。

最近コーエーPSP用ゲーム『Zill O'll infinite plus』(ジルオール インフィニット プラス)のダウンロード版をPS Vitaでプレイしています。

いや~このゲーム本当に面白いです。なんで今までスルーしてたんだろう。ということでネタバレなしの紹介記事を書くことにしました。

プレイ日記はこちらからご覧ください。




ジルオールとは?

ジルオール インフィニット プラス』ってなんだかすごく物々しいタイトルだと思われましたか?

実はこのゲーム、何回も移植されているのです。



PS版、PS2版、PSP版の違い

PSで初めて発売された時のタイトルは『Zill O'll』(ジルオールといいます。

PS2に移植された時は『Zill O'll ~infinite~』(ジルオール インフィニット)というタイトルになりました。大まかな内容は同じで、シナリオなどが追加されています。いわゆる「完全版」というやつです。

そしてPSP移植版(ダウンロード版はPS Vitaでもプレイ可)が表題の『Zill O'll ~infinite plus~』(ジルオール インフィニット プラス)。「インフィニット」にさらにシナリオや新機能などが追加されたものです。いわば「完全版の完全版」ですね(笑)。


なので『ジルオール インフィニット プラス』について語るには、まず『ジルオール』のことを説明する必要があります。



制作会社は歴史シミュレーションの老舗コーエー

ジルオール』を制作したのはコーエー

信長の野望』、『大航海時代』などの歴史シミュレーション物に定評のあった会社です。今はテクモと合併してコーエーテクモゲームスという会社になっています。乙女ゲー好きな方は、『遥かなる時空の中で』、『金色のコルダ』、『アンジェリーク』などでご存知かもしれません。

このゲームは、そんなコーエーの歴史シミュレーションと乙女ゲーその他の経験値をフル活用して作られた、渾身の中世ヨーロッパ風フリーシナリオRPGなのです。



一言で言うと

中世ヨーロッパ風の骨太な世界観のもとで、歴史の波に翻弄されながら、自由な旅を楽しむゲームです。



キャラメイクが面白い

プレイ開始時のキャラメイクで、主人公の名前、性別、スタート地点、初期ステータスを決められます。私のような無個性主人公至上主義者にとってはテンションの上がるポイントです。

特に、性別とスタート地点によっては一部イベントの内容や迎えられるエンディングが違ってきたりするので胸熱です。



骨太な世界観と登場人物

世界観と登場人物がしっかり作られているのも素晴らしい。

竜王や精霊、魔人、超古代文明などが息づく大地で。

かつて英雄と謳われながらも、王に疎まれ放浪するネメア。怪物に奪われた故郷の人々の魂を取り戻すために奮闘する勇者ノエル。各地で世の終わりを告げる怪しげな自称救世主エルファス。

などなど、総勢50人ほどのキャラクターたちが、時にいがみ合い、時に協力しながら物語を作り上げていきます。まさに群像劇


誰がメインキャラとか、メインヒロインだとかはありません。いうなれば、ジルオールの登場人物は全員がメインキャラ

だから、ほぼ全員に個別イベントとエンディングが用意されています。その内容は微笑ましい友情からガチ恋愛までさまざまです。



周回ごとに異なる切り口で物語を楽しめる

ジルオール』の最も楽しいところが、主人公の性別やスタート地点や行動次第で、見えるものが全く違うことです。


1周目ではただの噛ませ役のへっぽこ貴族としか思っていなかったキャラが、2周目では欠点は多いけれども愛すべき義兄になったり。

1周目でいつの間にか死んでいたおっさんが、2周目で会って話すと意外といい人だと分かり、それでもやはり死の運命を変えられなくて泣いたり。

1周目でヘンテコな髪型の人という認識しかなかったキャラに、2周目でとんでもない出生の秘密があることが判明したり。

登場人物と必要以上に関わらず、歴史の流れを傍観するプレイも、逆に積極的に事件に首を突っ込むプレイもできたり。


周回をこなすごとに新たな発見が増えて、この世界と登場人物にますます愛着が湧いてきます。



興味が湧いたらぜひ、『ジルオール インフィニット プラス』を購入して、プレイしてみてください。2000円くらいで長く遊べます。

なお、パッケージ版を購入するよりも、PS Vitaでダウンロード版を購入する方がオススメです(理由は後述)。一応パッケージ版のリンクも置いておきますが。




ジルオール インフィニット プラスとは?

ところで、なぜ『ジルオール』ではなく『ジルオール インフィニット プラス』の購入をしれっとオススメしているのか。

ずばり「インフィニット プラス」には以下の3点の長所があるからです。




大量の追加シナリオ

私は「インフィニット プラス」しかプレイしていないので実感はありませんが、無印の『ジルオール』では容量の関係かシナリオをかなり削っていたらしいです。だから、どうあがいても死んでしまう登場人物がいたり、説明もなく謎のまま終わってしまう設定が多かったりするとのこと。

PS2移植版の「インフィニット」では、シナリオが大量に追加されて話がかなり明瞭になった上、何人かのキャラの生存ルートが確保され、新規キャラも追加されました。

PSP版の「インフィニット プラス」は「インフィニット」の追加要素をそのまま引き継ぎ、さらにシナリオ、とあるキャラの生存ルート、新規キャラの追加を行っています。

つまり、「インフィニット プラス」が内容的には一番充実しているということです。


まあ、「インフィニット プラス」で新しく追加されたキャラは巷での評価がいまいちなんですけど(笑)。地雷を踏まれそうだと思ったら関わらなければ普通にスルーできますので、そこまで致命的な問題はないと思います。



パーティーキャラの入れ替えが瞬時にできる(2周目から)

これは地味に有用な改善です。

『ジルオール』は、「インフィニット」までは、何周プレイしようがとある1地点に行かないとパーティーメンバーを変更できない仕様になっています。新しい仲間が増えてもパーティーメンバーがいっぱいだとその場でパーティーに加えることはできず、「あっそうなんだ、じゃあ、そこであなたの呼び出しを待ってるね」と言って去っていってしまいます。

その地点までわざわざ行くこと自体もかなり億劫ですが、そのために日数が経過するのも問題なのです。このゲームは日数経過でイベントが進行することがあるので、パーティーメンバーを変えに行っている間に歴史が動いてしまった、という悲劇もありえます。

ですので、2周目から通信機とかいうオーバーテクノロジーでパーティー編成ができるようになるのはホント便利です。プレイが一気に快適になります。古代文明ってすげー



エンディングが選択可能(2周目から)

これも地味に嬉しい改善です。

「インフィニット」までは、複数キャラとのエンディング条件を満たしていると、優先順位の一番高いキャラのエンディングを強制的に見ることになります。

つまりですよ、例えば男性主人公がかわいい王女様とのエンディングを目指してどれだけ熱烈に愛を育もうが、彼女よりも優先順位の高いおっさんやらイケメンやらとのエンディング条件を満たしていたら、強制的に彼らとの友情エンドになってしまうわけですよ。そんなの絶対イヤだ! 十数時間のプレイが徒労で終わってしまう!

でも「インフィニット プラス」なら、2周目以降はエンディングを選択できるので安心です。

さらに、ちょっとした裏技(?)を使ってエンディングリストを効率的に埋めることもできます。裏技については調べると簡単に出てくるのでググってみてください!



とまあこんなわけで、『ジルオール』を遊びたいと思ったら無印や「インフィニット」よりも「インフィニット プラス」がオススメです。

そしてさらに言えばパッケージ版よりもPS Vitaのダウンロード版が断然オススメです。というかPS Vitaのダウンロード版じゃないと途中で投げ出すかもしれません。なぜそんなことになってしまうかは次の項にて。




ジルオールの欠点

ここまで長所ばかりを延々書き連ねてきた『ジルオール インフィニット プラス』。ですが他のゲーム同様、もちろん短所もあります。主に以下の3点です。



データ処理にかかる時間がとてつもなく長い(PSPのみ)

パッケージ版をPSPでプレイすると、データインストールしていてもものすごく長いらしいです。ロード時間とか、イベント時のモーションの起動とかが。ていうか機種によってはむしろデータインストールした方が長くなる謎な現象もあるらしい。処理落ちも起きるとのこと。

私がもしパッケージ版を購入していたら、序盤でプレイを諦めていたでしょう。

しかし、PS Vitaのダウンロード版でデータインストールを使えば、さほどストレスなくプレイできます。まあそれでもときどき「えっこれ大丈夫? フリーズしてない?」と思いましたけどね。なんだかんだフリーズしたことはないのでご安心ください。



3Dグラフィックがぎこちない

2Dのイラストと背景は申し分なく美しいのですが、それらと3Dのグラフィックの落差ときたら……。元がPSのソフトとはいえ、PSPに移植してこのレベルか、という感じです(笑)。

グラフィックがギザギザしているだけでなく、モーションがもっさりしててどのキャラも同じような動作をします。パーティーキャラ4人全員が全く同じ動作でよろめきながら立ち上がった時は、真剣な場面なのにおなかを抱えて笑ってしまいました。

グラフィックにこだわりのある方は要検討です。公式サイトなどで3Dグラフィックの出来を確認することをお勧めします。

ストーリーが秀逸なら多少見た目がアレでも許せる・ネタとして楽しめる方であれば、余裕で看過できると思います。再度申し上げますが2Dのイラストと背景は美しいです。



戦闘バランスがおかしい

RPGとしては致命的ともいえる欠点かもしれません。


普通にレベル上げをしていると、雑魚敵はもちろん中ボスあたりまで1ターンキルです。トリッキーな技を使ってくる敵もいないので、戦術とか強敵対策とかも不要です。レベルを上げて物理で殴ればいい。さらに高威力の武器を手に入れたりするとパワーバランスは一層崩壊します。

それなのにラストバトルの敵はめちゃくちゃ強い。ラストバトル直前までちぎっては投げちぎっては投げ状態だったのに、いきなり壁にぶち当たります。ここで初めて戦術が必要になります。まあそれも呪文を封じる技を使うとか回復薬係を決めるとかその程度ですが。


しかし、その分サクサク進められると思えば、RPGの苦手な方やプレイ時間があまり取れない方にとってはかえって長所になるかもしれません。また、レベルを上げないように意識すれば、緊迫感のある戦闘を楽しむことも可能です。





最後までお読みくださりありがとうございました。

ここまで読まれた方はぜひ、『ジルオール インフィニット プラス』をプレイしてみてはいかがでしょうか。ダウンロード版、パッケージ版ともに、わずか2000円ほどで購入できますよ。

『ジルオール』の世界で主人公がどんな活躍をするかは、プレイヤーであるあなた次第です。自由な旅を!


プレイ日記は以下の記事に書きました。よろしければご覧ください。めちゃくちゃネタバレしているのでご注意ください。









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