私の歴史漫画カタログ:おすすめの歴史漫画を地域別・年代順に一挙紹介!
皆様こんにちは。赤城です。
歴史漫画って、面白い上に歴史の勉強にもなって一石二鳥ですよね!
この記事では、連載完結しているおすすめの歴史漫画と、私が現在購読中(雑誌に連載中)の歴史漫画を、ネタバレなしでざっくばらんにご紹介いたします。随時更新予定です。現在は全26作品をご紹介しています。ささやかながら、皆様の漫画充生活の一助となれば幸いです。
はじめに
- 項目は地域別・年代順に並んでいます。
- 百合要素のある作品が多めです。
- 流血描写ありと付けている作品は、ニュアンスとしては「グロ表現あり」に近いです。血がたくさんアレしたり首がアレしたりするため、グロいのが苦手な人は読まない方がいいだろうなと思う作品に付けました。付けていない作品でも、ちょっとくらいなら血飛沫は飛ぶし、だいたい誰かが死にます。歴史物の宿命ってやつですね。
- ジャンルとおすすめ度は私の独断と偏見と気分に基づいて付けています。おすすめ度満点の作品は下記の通りです。
連載完結しているおすすめの歴史漫画
まずは、完結済の歴史漫画の中から、特におすすめのものをご紹介します。気になったら最後まで一気読みできますよ!日本
[7C / 日本]
日出処の天子
作 | 山岸涼子 |
連載年 | 1980-1984 |
題材 | 聖徳太子 |
ジャンル | 耽美 |
公式サイト | [:title] |
おすすめ度 | ★★★★★ |
普通の人には見えない世界を見、操れない力を操ることのできる霊能力者・聖徳太子は、家族に疎まれて想像を絶する孤独を抱えています。ちょっとだけ霊能力のある蘇我馬子は、そんな彼にとってかけがえのない理解者となります。しかし、周囲の環境と馬子の心境の変化により、2人はだんだんと距離を置くことになってしまいます。
ストーリーも素晴らしいのですが、聖徳太子がときどきポロっと出す凄みのある表情も見どころです。妖艶な美しさをたたえた般若のような顔つきになるんですよ。リアルで背筋が凍り付きます。
[7C / 日本]
天上の虹 持統天皇物語
作 | 里中満智子 |
連載年 | 1983-2015 |
題材 | 持統天皇 |
ジャンル | 恋愛 |
公式サイト | 天上の虹|Kiss -読むと恋をする- 講談社の女性漫画誌 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
そもそも「誰?」って言われそうなので軽く解説を。
持統天皇は天智天皇の娘で、天武天皇の皇后。百人一首の「春過ぎて夏来にけらし~」を詠んだ人です。我が子を天皇位に就けるために甥を誅殺し、天皇位を退いた後も太政天皇(いわゆる上皇)として君臨し続けた、と言われています。
うわぁ、すげー悪人じゃん、と思われるかもしれません。でも、それは果たして真実なのでしょうか? 後世の人々が、史書の記述だけを見てそう思い込んでいるだけではないでしょうか?
この漫画は、里中先生のそんな疑問を出発点に、諸々の創作ではテンプレな悪役になりがちな持統天皇を一から描き直したものです。物語は、持統天皇の幼少期から始まり、有間皇子との悲恋、天武天皇との結婚と心離れ、そして次世代の恋愛模様へと移り変わっていきます。
ストーリーはもちろん面白いです。里中先生らしい理詰めかつ情熱的な心理描写が登場人物の言動に説得力を与えていて、時間が経つのも忘れてじっくり読み込んでしまいます。特に、持統天皇が数々の出来事の積み重ねを経て孤高の為政者になっていくさまには、心強さを感じながらも胸が痛みました。
また、色々な見た目と性格のイケメンや美女が出てくるので、目の保養にピッタリです(笑)。私が一番好きなのは舎人皇子です。出番少ないけど……。
さらに、各登場人物の万葉集に収められた歌が欠かさず出てくるため勉強になります。万葉集をそのまま読んでいるだけだとイマイチ理解できない歌も、漫画の中でその人物の背景やら心情やらをたっぷり説明された上で読むと感動します。
あ、ちなみにほんの少しですがBLもあります。
難点は、終盤で先生が体調を崩されたらしく、ストーリーと絵柄にちょっとブレが出てしまったことです。でも、それを差し引いても、第53章 紀皇女あたりまでは珠玉の出来だと私は思っています。古代日本史に興味のある方もそうでない方も、ぜひご一読ください!
[20C / 日本・ドイツ / 流血描写あり]
アドルフに告ぐ
作 | 手塚治虫 |
連載年 | 1983-1985 |
題材 | 第二次世界大戦 |
ジャンル | サスペンス |
公式サイト | アドルフに告ぐ|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL |
おすすめ度 | ★★★★★ |
ナチスに弟を殺され復讐を誓った日本人・峠草平を狂言回しに、3人の「アドルフ」を主人公として話は進みます。
1人目は、ナチスの指導者アドルフ・ヒトラー。2人目は、神戸で暮らす、ナチス党員の父と日本人の母を持つアドルフ・カウフマン。3人目は、同じく神戸の街に住むユダヤ人の息子アドルフ・カミル。
この他にも、大河ドラマのようにさまざまな登場人物が入り乱れ、壮大で悲愴な物語が展開します。
題材、構成、キャラクター、どれをとっても一級品のため、純粋にエンターテインメントとして読んでも面白いです。
しかし、最後まで読むと、手塚先生がこの漫画に込めたメッセージにも胸を打たれずにはいられません。それは差別反対とか、反戦とか、そんな生温いものであありません。この漫画が与えてくれるのは、人間の心は非常に脆く、正義とは実に危うい代物であるという悟りです。その絶望的なスタート地点からどのように脱却すればよいのか。その答えは物語のところどころで断片的に語られていますが、実現は容易ではないように思われます。
私にとって特に印象的だったのは、カウフマンの変わりようです。彼は友人思いの心優しい少年でした。しかし、とある出来事をきっかけに、彼の性格は歪み始めてしまうのです。そんな彼に対して憎しみは全く湧きませんでした。むしろ哀れみや、自分がもし同じ境遇に置かれたら彼のようになってしまうのではという恐怖を感じました。
巧みなストーリーテリングで、人間の脆さと正義の危うさを読む者の心に刻みつける傑作です。ぜひご一読ください。
[現代 / 日本]
宗像教授シリーズ
作 | 星野之宣 |
連載年 | 1990-2010 |
題材 | 日本の神話・伝説 |
ジャンル | 歴史ミステリ |
公式サイト | 宗像教授伝奇考 1 | 小学館 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
民俗学者の宗像教授が、日本の神話や伝説を歴史・考古学的見地から検証します。その発想は斬新かつ魅力的。扱われる題材も多様です。多くは現地を訪れて歩き回りながらの検証となるので、旅情もそそられます。オカルティックな現象に遭遇したり利益や名声のために悪を働く人々を懲らしめたりします。
1話~2話で完結するエピソードが多いため、興味のある巻だけ買っても大丈夫です! シリーズ作品には、主に『宗像教授伝奇考』と『宗像教授異考録』がありますが、私もまだ全ての巻は読破していません。
アジア
[紀元前14C / ヒッタイト]
天は赤い河のほとり
作 | 篠原千絵 |
連載年 | 1995-2002 |
題材 | ムルシリ2世 |
ジャンル | 恋愛 |
公式サイト | 天は赤い河のほとり 1巻 篠原千絵 - 小学館eコミックストア|無料試し読み多数!マンガ読むならeコミ! |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
少女漫画なので恋愛色は強いです。ユーリのまっすぐな性格と飾らない美しさは皇子カイルの他、カイルの弟や側近、さらに他国の王子をも魅了します。また、恋愛を抜きにしても、彼女は賢く心優しいため、敵味方を問わず多くの人から慕われます。
私は逆ハー系の話が苦手なのと、そもそも一介の中学生がここまでのバイタリティをいきなり持ちうるのだろうか、と思ってしまったので、おすすめ度低めにしてありますが。古代ヒッタイトを舞台にした創作自体が非常に珍しいし、ストーリーも緩急の付け方が非常に巧いので、一読の価値はあると思います。
[紀元前11C / 中国 / 流血描写あり]
封神演義
作 | 藤崎竜 |
連載年 | 1996-2000 |
題材 | 殷周革命 |
ジャンル | ファンタジー |
公式サイト | 封神演義 - 集英社コミック文庫 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
原作は中国明代の小説『封神演義』。フジリュー先生は、これを魔改造してめちゃくちゃ面白い少年漫画に仕上げています。
中国の殷代末期、仙人界の道士太公望は、人間界に害をなしている妲己とその手下を討つよう命じられます。太公望は戦闘能力は低いですが、頭脳戦が得意です。あの手この手を使って敵を倒し、仲間を増やしていきます。
この漫画は、太公望が狂言回しを務める群像劇と言ってよいでしょう。とにかく太公望が弱い(笑)ので、戦闘では仲間が活躍することの方が多いからです。太公望は軍師として、作戦立案とサポートに回ります。彼は少年漫画の主人公としてはかなり珍しいタイプではないでしょうか。
話自体はかなりシリアスであるものの、登場人物が全体的にコミカルな性格をしているため、あまり暗い気持ちにならずに読むことができます。
ちなみにアニメは2回制作されていますが、特に2回目の方を観て「うっわクソつまらないじゃん読む価値ないわ」などと思わないでください! アニメの作画と話の構成はマジで原作漫画の良さを1000%殺してますので! ぜひぜひ、読んでみてくださいね!!
[13C / 中国 / 流血描写あり]
シュトヘル
作 | 伊藤悠 |
連載年 | 2009-2017 |
題材 | 西夏文字 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
公式サイト | 週刊スピリッツ | ビッグコミックBROS.NET(ビッグコミックブロス)|小学館 |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
西夏の女兵士ウィソは、仲間を皆殺しにされた恨みから、単独かつ無計画にモンゴル兵を殺して回るようになり、シュトヘル(悪霊)と呼ばれ恐れられていました。
彼女はある時から、モンゴルの傘下にあるツォグ族の族長の次男ユルールの護衛を務めることになります。ユルールは諸事情あって、西夏文字を根絶やしにしようとするモンゴルから西夏文字を守るために行動しています。
例え死んでしまっても、文字を使えば、自分の思いを愛する人や後世の人々に伝えることができる。ユルールからそう教えられたシュトヘルは、何がなんでも彼を守り抜こうと決意するのですが……。
この漫画の特徴としては、まず、題材が斬新かつ深遠であることが挙げられます。文字は、火とともに、私たちの文化の発達に最も寄与した発明であると言えるでしょう。文字がなければ、自分たちの得た叡智を次世代に伝えるのに大変な労力を費やさなければなりません。また、人を想う気持ちや悲しみも、文字にして残さなければやがては忘れ去られてしまいます。シュトヘルとユルールの交流を通じて、私は改めて文字の大切さに気付かされました。
次に特徴として挙げられるのは、台詞がとても詩的なところです。ちょっとした台詞でも、まるでキャッチコピーみたいなんですよ。画面の描写は結構血生臭いのに、歌物語のような雰囲気が出ていて素敵です。
あとは、何気に百合な展開があるのも見逃せません。伊藤先生の描く女性は皆しなやかな肉体美があって魅力的なので、そんな彼女たちがいちゃついているところを見ると思わずムフフとにやけてしまいます。
ラストの締め方はお話としてちょっとどうかと思いましたが、それでも確かな感動と余韻を与えてくれる作品でした。
ヨーロッパ
[13C / フランス / 流血描写あり]
インノサン少年十字軍
作 | 古屋兎丸 |
連載年 | 2008-2012 |
題材 | 少年十字軍 |
ジャンル | 耽美 |
公式サイト | インノサン少年十字軍 上 - 太田出版 |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
しかし、それはほぼ全てが大人たちによって仕組まれたもの。少年たちはやがて凄惨な結末を迎えることになります。
古屋先生の描く美しい少年たちは、序盤の爽やかな友情劇から一変、ドロドロした愛憎劇を繰り広げます。そして大人が汚い、めっちゃ汚い。そしてそんなこんなを乗り越えて迎える最後はかなり切ないです。
BLとグロ要素が強いため万人におすすめはできませんが、耐性があって絵柄が好きなら買って損はないと思います。
[18C / フランス]
ベルサイユのばら
作 | 池田理代子 |
連載年 | 1972-1973 |
題材 | フランス革命 |
ジャンル | 恋愛 |
公式サイト | ベルサイユのばら 1/池田 理代子 | 集英社コミック公式 S-MANGA |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
なんだか世間的な認知度はオスカル様の方が上な気がするのですが、私はどちらかというとバスティーユ牢獄襲撃事件後のマリー・アントワネットの方が好きです。地味ですけど。
しかし、もちろんそれは比較したらの話で、『ベルばら』は全ての場面が名作です。全少年少女のバイブルです。読んだことのない方は、漫画喫茶でもなんでもいいから読んでみてください。
[18C / オーストリア]
マドモアゼル・モーツァルト
作 | 福山庸治 |
連載年 | 1989-1990 |
題材 | モーツァルト |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
公式サイト | 名作まんが『マドモアゼル・モーツァルト』特集ページ!! |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
モーツァルトの女性的な魅力にあてられ、映画『アマデウス』などでも大活躍のサリエリ先生が恋をします。一方、モーツァルトの下宿先の娘コンスタンツェは男性としてのモーツァルトを愛しています。
しかし当のモーツァルトは、音楽と下品な話は大好きですが、恋愛には大して興味がありません。そのため、サリエリを父親のように慕い、コンスタンツェを友達のように思っています。
ある日、ついにコンスタンツェに押し切られ、モーツァルトは彼女と結婚することになります。その結婚生活には多大な障害が待ち受けていました。
あまり知られていませんが、良作だと思います。モーツァルトの天真爛漫さとサリエリの気持ち悪さ(笑)が対照的で面白いです。ご興味があれば、早速試し読みされるか、私が以前書いた紹介記事をご覧いただければと思います。
現在購読中(雑誌連載中)の歴史漫画
続いては、現在雑誌連載中の歴史漫画のご紹介です。日本
[戦国時代 / 日本]
アシガール
作 | 森本梢子 |
連載年 | 2012- |
題材 | 足軽? |
ジャンル | コメディ |
公式サイト | アシガール | 森本梢子 | 連載作品 | ココハナ | ココロに花を。毎月28日発売!! |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
女子高生・唯は弟の作ったタイムマシンで戦国時代にタイムスリップして、素敵な若殿様とボーイミーツガールします。ここまでなら、あーよくあるやつねはいはい、という感じですが。
唯は当時のいわゆる「女性らしさ」とは無縁な、あけっぴろげでガサツな性格。おまけにすさまじい足の速さを誇ります。でも、爽やかイケメンな若殿様にはメロメロ。若殿様の方も相当な変わり者らしく、彼女に対して好意を抱いているような素振りを見せます。唯はその脚力と弟の発明品を活用し、戦で若殿様を守ったり、領地の人々と仲良くなったりします。
基本的にコメディタッチで、敵(?)役でさえも憎めないおとぼけ感があります。それでも締めるところはきちんと締めてくれますのでご安心ください。
後半は恋愛色が強くなってきて、恋愛物が苦手な私にはつらくなってきてしまったので、おすすめ度は低めにしてあります。
[16C / 日本 / 流血描写あり]
レイリ
作 | 室井大資 |
連載年 | 2015- |
題材 | 戦国時代 |
ジャンル | アクション |
公式サイト | レイリ 第一巻 | 秋田書店 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
ごく普通の農民の少女だったレイリは、家族を武田の残党刈りの侍たちに殺されます。彼らは武田家の家臣、岡部丹波守を追っていたのです。
岡部は彼女の家族の死の原因を作ってしまったことに思い悩みます。しかしレイリは自分を拾って養ってくれた岡部に感謝し、「恩を返して死ぬ」ためにめちゃくちゃ強くなります。その甲斐あってか、武田信勝の影武者に登用されるのですが……。
主人公が戦闘狂の死にたがり症なのに相当な天然なのがかわいいです(笑)。武田信勝もなかなかいい性格をしていますね。それと、こちらでも岩明節は健在です。淡々とした画の中に登場人物の感情がにじみ出ていて切ないです。
[17C / 日本]
大奥
作 | よしながふみ |
連載年 | 2004- |
題材 | 江戸幕府 |
ジャンル | 恋愛 |
公式サイト | 大奥 | 白泉社 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
なぜそんなことになったかというと、男性のみが罹患する疫病のせいで、男性が極端に少なくなったからです。そんな世の中では多くの女性は正式な夫を得ることもままなりません。だからこそ、将軍だけに許される最高の贅沢として、美男ばかりを集めた大奥が設立されることになるのです。
この漫画のポイントは、有能・無能にかかわらず数多くの女性が活躍しているところ。何せ男性は非常に希少な存在になったので、みんな家から出したがらないわけですよ。そのため、政治も経済も女性が回すようになり、本当のかかあ天下が始まるというわけです。実際にはまずありえないことではありますが、ものすごく胸熱です。
主に描かれるのは、歴代の女性将軍をめぐる恋愛模様と政治です。一番面白いのは平賀源内のエピソードではないかと思います。
ちなみに百合もBLもありますのでよろしくお願いします。百合は最高に滾りました。
[19C / 日本]
ふしぎの国のバード
作 | 佐々大河 |
連載年 | 2013- |
題材 | 近代日本 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
公式サイト | ふしぎの国のバード 1巻 | コミック | ビームコミックス | エンターブレイン |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
うら若き女性旅行家バードが、通訳の青年とともに、日本の主に東北地方を旅行します。イギリス人であるバードの目から見た明治期の日本は、現代に生きる私たちにとっても実に新鮮です。また、私たちのご先祖様もきっとこんなふうに生きていたんだろうなあと思うと、感慨深くもあります。
『日本奥地旅行』をベースにしているとはいっても、結構フィクションは入っているようです。史実至上主義者の方は納得されないかもしれませんが、あくまで漫画なので史実と違うところがあってもいいと私は思います。だいたいバードさん、日本旅行したときは本当はバリバリの中年だったはずだし。だからこそ、原作もものすごく気になります。今度読んでみようと思っています。
[20C / 日本 / 流血描写あり]
ゴールデンカムイ
作 | 野田サトル |
連載年 | 2014- |
題材 | 明治末期の北海道 |
ジャンル | ギャグ/アクション |
公式サイト | 『ゴールデンカムイ』公式サイト│集英社 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
とある目的のため大金が欲しい「不死身の杉元」は、アイヌの少女「アシリパ」とともに北海道を駆け回ります。その過程で、だんだん愉快な仲間が増えていきます。
この漫画は、ギャグ7割シリアス3割くらいのバトル&北海道ダイマ漫画です。
本筋のストーリーでは、アイヌの埋蔵金を巡って日露戦争帰りの兵団や脱獄囚などと戦うのですが、彼らは基本的に変態です。色々おかしい人の宝庫です。時に大笑いし、時にドン引きしながらも読み進めていくと、どことなく彼らが愛らしく見えてきます。
また、アイヌをはじめとする当時の北海道の文化・社会・生活も、ストーリーに生き生きと組み込まれています。破天荒なキャラとストーリーを楽しむうちに、いつの間にか当時の北海道についての知識が増えていることでしょう。特に、アイヌの「食」については、アシリパと杉元のやり取りを通して実においしそうに語られますので、食べてみたくなること請け合いです!
なお、アイヌが題材になるとどうしても日本人から搾取されていたなどの悲劇的な話になりがちですが、この漫画では自然とともに強かに生きるアイヌと、彼らの存在を肯定的に受け止める和人が多く描かれていて嬉しいです。
ちなみに、登場人物には史実の人物も何人か混じっています。有名どころでは土方歳三や永倉新八といった面々が登場します。え? 土方歳三ってとっくに死んでいるんじゃないかって? ええ、史実ではもう死んでます。ところがこの漫画ではそうではないんです。どんな活躍をするかは読んでみてのお楽しみ!
そういえば最近アニメになりましたね。アニメの方は作画と話の構成がだいぶアレなので、アニメだけ観て「こりゃダメだ」と思わず、原作も読んでみていただきたいです。
実は、このブログではこっそり単行本の感想も書いています。既にゴールデンカムイの読者になっている方はぜひご覧ください。
アジア
[19C / 中央アジア]
乙嫁語り
作 | 森薫 |
連載年 | 2008- |
題材 | 中央アジア遊牧民 |
ジャンル | 恋愛 |
公式サイト | 乙嫁語り 1巻 | コミック | ビームコミックス | エンターブレイン |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
主人公は話によって変わります。一番登場回数が多いのは姉さん女房のアミルとまだ幼い夫カルルクです。他の主人公たちは以下の通り。
おっ、秘密の楽園が気になりましたか? 目ざといですねえお客さん。ご想像通り、当該主人公たちの登場巻には美しい百合の世界が広がっていますよ。ぜひぜひご一読ください!!
ヨーロッパ
[紀元前4C / 地中海世界 / 流血描写あり]
ヒストリエ
作 | 岩明均 |
連載年 | 2003- |
題材 | エウメネス |
ジャンル | 戦記物 |
公式サイト | ヒストリエ|アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
物語の舞台は、マケドニアが台頭し始めた古代地中海。主人公に据えられているのはマケドニアのアレクサンドロス大王……ではなく、大王の書記官であるエウメネスという人物です。飄々とした頭脳派(でも剣の方も強いよ!)な彼の目を通して語られる人々のドラマに圧倒されます。
[11C / 北欧 / 流血描写あり]
ヴィンランド・サガ
作 | 幸村誠 |
連載年 | 2005- |
題材 | ヴァイキング |
ジャンル | アクション |
公式サイト | ヴィンランド・サガ|アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
アイスランドの少年トルフィンが、ある日ヴァイキングに父親を殺され、復讐を誓って仇の船団に乗り込みます。それは彼の長い苦難の道のりの始まりでした……。
ヴァイキングが題材になっているため、男たちの血湧き肉躍る戦いの場面がたくさん出てきます。幸村先生の圧倒的な画力も相まって燃えまくりです!!
この漫画で私が一番好きなキャラはヴァイキングの首領アシェラッド。彼はトルフィンの父親を殺した張本人で、その知略と武勇で自分のヴァイキングの仲間たちを血生臭い勝利に導いていきます。初めは、こんなじじい絶対好きになれへんわと思っていたのですが、彼のトルフィンに対する思いやり(?)や胸に秘めた思想を目の当たりにしてかなり評価が変わりました。
元ネタとなっているサガの筋を調べると「え、これからいったいどうなっちゃうの……!?」と思いますが、どんな結末でもトルフィンを全力で応援したいです。どうか幸せになってくれ、トルフィン。
ちなみに、なんとこのたびアニメ化が決定したそうです!! 『封神演義』や『ゴールデンカムイ』のようになってしまわないか若干、いえ、かなり不安ですが、既にブルーレイ全巻購入する準備はできています!(笑)
[14C / ドイツ]
修道士ファルコ、ケルン市警オド
作 | 青池保子 |
連載年 | 1991- |
題材 | 修道院、中世都市 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
公式サイト | PC「修道士ファルコ」1巻 | 修道士ファルコ | 作品リスト | 青池保子公式サイト LAND HAUS |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
修道士ファルコは、かつて一流の剣の腕前を持つ騎士でした。俗世を捨てて修道士になってからも、とある事情のため托鉢をせずに髪の毛を伸ばしています。ドイツのリリエンタール修道院にやってきた彼は、その髪型とお人好しな性格のために、さまざまな事件に巻き込まれます。
聖人にまつわる不思議な現象が起こるなど、ファンタジーな雰囲気を醸し出しながらも、当時の修道院の様子をリアリティとユーモアたっぷりに描いています。
現在は連載が中断されていて、代わりに前日譚にあたる『ケルン市警オド』が発表されています。『ケルン市警オド』はファルコの同僚オドがケルン市警を務めていた頃の話で、同じようにミステリ要素はありますが『修道士ファルコ』よりも若干シリアス寄りです。
ちなみに、中世ヨーロッパの修道士が活躍するミステリを読みたいなら、小説の「修道士カドフェル」シリーズもおすすめです!
[15C / チェコ・神聖ローマ帝国 / 流血描写あり]
乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ
作 | 大西巷一 |
連載年 | 2013- |
題材 | フス戦争 |
ジャンル | アクション |
公式サイト | 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ / 大西巷一 - ニコニコ静画 (マンガ) |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
フス戦争って、そもそも知らない・忘れている人が多いんじゃないでしょうか。かく言う私もこの漫画を読む前はプラハ窓外投擲事件くらいしか知りませんでした。某百科事典によると、フス戦争とは、学者ヤン・フスによるプロテスタント運動が発端となって始まった戦争です。詳しくはググってくださいサーセン。
フス派のリーダーであるヤン・ジシュカのカリスマ性と戦略性には目を瞠るものがあります。「中世ヨーロッパの戦争? どうせあれでしょ、闇雲に突進するだけでしょ」と思っているそこのあなた、ぜひご一読ください。
あともうひとつ、特筆すべきこと。とにかく女の子がかわいいし、戦争でも大活躍します。そして容赦なくひどい目に遭います。
個人的に白眉だと思っているのは、主人公のシャールカと親友ガブリエルの百合友情物語です。
[15C / イギリス]
薔薇王の葬列
作 | 菅野文 |
連載年 | 2013- |
題材 | リチャード3世 |
ジャンル | 耽美 |
公式サイト | 薔薇王の葬列 第1巻 | 秋田書店 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
リチャードには妖艶な魅力が備わっていて、周囲の人物を虜にします。しかし、彼自身はそれに全く気付かずに孤独を深めていきます。
リチャードが両性具有であるため、ナチュラルにBL・百合っぽいのが大変良い感じです。
私の推しキャラはアン・ネヴィルとエドワード・ランカスター。2人ともリチャードを慕う様子がとてもかわいいのです。しかし、彼らもまた悲劇からは逃れられず……(涙)。
[16C / イギリス]
7人のシェイクスピア(続編:7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT)
作 | ハロルド作石 |
連載年 | 2009- |
題材 | シェイクスピア |
ジャンル | サスペンス |
公式サイト | https://www.shogakukan.co.jp/books/09183235 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
ウィルことウィリアム・シェイクスピアは、親友のジョンとともにカトリックの信仰を持っていました。しかし、時の女王、エリザベス1世によってカトリックは弾圧されていて、彼らの心の支えだった神父も拷問の末殺害されてしまいました。
弱者はひたすら虐げられるのみ。自由を勝ち取るためには力を手に入れるしかない。そう考えたウィルは、ジョンと一緒に故郷を飛び出し、演劇の世界へと身を投じていきます。ウィルは脚本家としては特に秀でてはいませんでした。しかし、成り行きから、彼は自分の脚本作りに協力してくれる人々と知り合うことになります。
全体のストーリーはシリアスでありながら、個々の登場人物のやり取りは軽妙なコントみたいで楽しいです。脚本作りに一番重要な役割を果たしているリーという少女が終始とてもかわいい。あと、ジョンがウィルに向けている感情がブロマンスっぽくてドキドキします。
最初はビッグコミックスピリッツで連載されていましたが、第1部終了後休載を経て雑誌が変わり、現在は週刊ヤングマガジンで連載されてます。タイトルも『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』に変わっていますので、第2部以降をお求めの場合はご注意ください。
[16C / フランス]
王妃マルゴ
作 | 萩尾望都 |
連載年 | 2012- |
題材 | マルグリット・ド・ヴァロワ |
ジャンル | 恋愛 |
公式サイト | 月刊YOU|王妃マルゴ |
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
フランス・ヴァロワ朝最後の王女、マルグリット。彼女はカトリーヌ・ド・メディシスの娘ですが、母親のような政治に対する興味関心は薄く、恋愛好きな、類稀なる美貌の持ち主です。そのために、彼女を愛する男たちや政治的に利用しようとする輩に翻弄され、激動の半生を送ることになります。
私は、登場人物の感情の流れが分かりづらいので読みづらいな~と思っていますが、絵は綺麗ですし、話自体は惹き込まれるものがあります。
[18C / フランス / 流血描写あり]
イノサン(続編:イノサン Rouge)
作 | 坂本眞一 |
連載年 | 2013- |
題材 | シャルル=アンリ・サンソン マリー=ジョセフ・サンソン |
ジャンル | 耽美 |
公式サイト | 週刊ヤングジャンプ公式サイト |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
兄シャルルは心優しく弱気な性格、妹マリーは処刑大好きで勝気な性格です。兄妹間の力関係が心配になってくる人物造形ですが、どうなるかは見てのお楽しみ。
この漫画の見どころは、ひとつひとつのコマの美しさです。全ての絵が繊細で美しく、ときどきエロティックなのです。処刑人が主人公なだけあって結構グロいときもありますが、その描写も極めて克明で、思わず見入ってしまいます。
また、明らかに『ベルばら』を意識しているところがあって面白いです。具体的に言うとマリー≒オスカル。あと唐突に宝塚みたいなミュージカルが始まる(笑)。ですので当然百合もあります!
最後までお読みくださりありがとうございました! ひとつでも読んでみたいと思える漫画が見つかったなら何よりです。
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