【レビュー】ドラゴンクエストビルダーズ2:秀逸な世界観と大幅に進化したビルドが楽しい!
皆様こんにちは。赤城です。
Nintendo SwitchとPS4で絶賛発売中のスクウェア・エニックスのソフト『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』(DQB2)のネタバレなしレビューをお伝えします。
ストーリー
まずはストーリーについて、ビルダーズ1との比較メインでお伝えします。個人的にはビルダーズ1のストーリーの方が好きですが、ビルダーズ2もドラクエ作品の中では非常に完成度が高いと思います。
ボリュームはビルダーズ1の2倍はあります。ただ、それを長所と感じるか短所と感じるかは人それぞれのようです。
以下で詳しくお伝えします。
世界観が最高
ビルダーズ1の世界観も素晴らしかったですが、ビルダーズ2はそれと同等、いやもしかしたらそれ以上に面白い。この点に関しては神ゲーと言って差し支えない出来栄えです。ビルダーズ1では公式サイトで世界観の根幹がすでに説明されていて、そのうえで各章のストーリーの巧みな展開に魅せられました。
一方、ビルダーズ2は世界に関する色々な謎が散りばめられた状態で物語が始まります。それぞれの島での冒険を通じて、それらの謎が徐々に明かされていきます。
ドラクエ2ネタを随所に取り入れながら、ドラクエ2をプレイしたことがある人もない人も、ドキドキハラハラできる話になっています。
ビルダーズ2の世界に隠された真実とはいったいなんなのか。全ての真実が明らかになったとき、何が起こるのか。
ぜひ、ご自分の手でプレイしてじっくり味わっていただければと思います。
サバイバル感があまりない
一方、ビルダーズ1で私が個人的に好きだったサバイバル感については、かなり薄れています。ビルダーズ1では、モノづくりの力を奪われたために人間の文明が崩壊し、原始的な生活に逆戻りしています。人々はあらゆる知識を失っています。また、他人を信じ、協力することもままなりません。そのため、魔物に生を脅かされ、絶滅の危機に瀕しています。
このようなどん底の状態から主人公が孤軍奮闘して文明復興させていくという筋立てでした。
この何もかも一から始めてみんなを守り抜かなければいけないサバイバル感が、私の心を惹きつけてやまなかったのです。
ビルダーズ2では、文明はハーゴン教団に破壊されてはいるものの、まだある程度の形を保っています。人々は農耕や鉱石採掘の知識を持っていて、仲間と協力し合うことも既に知っています。そもそも、ハーゴン教団から食料は供給されているので、人間たちは普通に生きられています。
この状態から、みんなと協力してハーゴン教団の支配を打倒し、街を復興させていくのが主人公の役目です。
このように、ビルダーズ2は完成形がある程度見えている状態からのスタートとなります。分かりやすくはありますが、個人的には前作よりも少しだけワクワク度が低いです。
賑やかな雰囲気
ビルダーズ1では、姿の見えない神様の声に導かれて独りで拠点に辿り着きます。仲間は1人ずつぽつぽつと増えていきますが、そんなに大勢になることはありません。さらに、一部の章を除いて誰も冒険についてきてくれません。そのため、そこはかとない寂寞感が全編を通じて漂っています。一方、ビルダーズ2では初めからシドーが行動を共にしています。また、例えばモンゾーラ島の拠点に到着すると、一気に仲間が4名になり、その後もどんどん増えて、ビルダーズ1の1章の2倍ほどの人数になります。したがって、全然寂しくありません。常にワイワイしていて心強いですし、1より生活の場を作っている感が高まります。
寂寞感か賑やかさか、プレイする人の好む雰囲気によって評価の変わる部分だとは思いますが、ビルダーズ2はまさに、「仲間」システムが初めて導入されたドラクエ2の派生作品にふさわしいと思います。
前半はそこそこ、後半は盛り上がる
前半のストーリーの展開は普通の出来です。人によっては飽きるかもしれません。その原因は2つあります。1つ目は、キャラは魅力的なのに人数が多すぎてひとりひとりの活躍ぶりが見えないこと。大勢の人が次々とクエストを依頼してくるので、誰が何をどういう目的で頼んできたかがほとんど印象に残らないのです。
2つ目は、部分的に悲しい出来事はあるものの生きることに100%前向きな人たちの話になっていて、プレイヤーの気持ちを煽るような危機感があまり感じられないことです。現状のままでもそれなりにやっていけそうではあるので、早く物語を進めて主人公やNPCたちがどうなるか見たい! という気分になれませんでした。
一方、後半のストーリーは素晴らしい出来栄えでした。
後半部分ではビルダーズ2世界の謎の答えが仄めかされることが多くなり、明らかになる真実に驚かされながらプレイしていくことになります。
また、キャラは相変わらず多いですがメインキャラに的を絞って描写していて、シリアスな展開になってくるため、早くストーリーを進めて続きを見たいという気持ちにさせられます。
さらに、なんとドラクエシリーズお馴染みの彼らとも一緒に冒険できるようになります。いいとこ尽くしです。
以上、前半はごく普通のお話ですが、後半が大変面白いので、ぜひ後半を楽しみにしてプレイしてみていただけたらと思います。
ボリュームは前作の2倍以上
ビルダーズ2のストーリーは少なくともビルダーズ1の2倍ほどのボリュームがあります。例として挙げると、私のクリアまでのプレイ時間は、ストーリーを追っていた時間だけでも約40時間です。ビルドなどで寄り道していた時間も合計すると約200時間かかりました。私はストーリー重視のプレイヤーなため、非常に嬉しかったです。コスパ最高やんけ、むしろもっと長くてもいいぞと思いました。
長すぎるという声もある
しかし、人によっては「長すぎる」と感じるようです。特に、ストーリーはそこそこでいいから早くたくさんの建物をビルドしたいと考えている方はもどかしく思う可能性があるかもしれません。ビルダーズシリーズは他のサンドボックス型ゲームと異なり、ドラクエの派生作品として確固たるストーリーがあることがセールスポイントのひとつです。そのため、クリアするまではストーリーに応じてある程度建材や建築可能範囲に縛りがあります。
したがって、ビルド主目的でプレイしたい方は、このストーリーの長さ、また前述したようなストーリーの特徴を許容できるか否かを判断材料のひとつにされた方がよいかと思います。
ビルド(建築)
ビルドに関しては、ビルダーズ1とは別物と思えるくらい進化しています。私は作るものが全て豆腐のような形状とセンス皆無の配置になる一級豆腐建築士であるため、ビルダーズ1のときはあまりビルドに興味がなかったのですが、ビルダーズ2では豆腐建築士なりにめちゃくちゃはまっています。しかし、一方で人によっては受け入れがたい面もあるだろうと感じます。
以下でその理由を挙げます。
素材が増え、無限に採取でき、一部は無限ボーナスがつく
使える素材が1とは比べ物にならないくらい多いです。一部の素材は自動で連結するのが便利です。また、「そざい島」のおかげで、素材が無限に採取できます。
そざい島は行くたびに不思議のダンジョン的な要領で地形が変わり、素材も復活するというスグレモノです。単独の島ではなく、ジメジメ島、フサフサ島などといった素材を蓄えた小島の総称です。
島ごとに手に入る素材がある程度決まっているので、特定の素材を集めたいときは効率的です。ただ、そざい島自体がかなり大きいため、広大な土地の中から求める素材を探し出すのが大変なこともあります。
さらに、よく使う素材はとある条件を満たすと無限ボーナスがつきます。その素材を入手するためにそざい島へ行かなくて済むというわけです。ボーナスのつく素材はそれ単独で作れるものが多いので本当に助かります。
素材ボーナスは他の島の素材を持ち込めない新しい島でも有効です。
ビルダー道具が便利
からっぽ島で「かいたくレシピ」と呼ばれるサブクエストのようなものを達成することで、ビルダー道具その他が手に入ります。これがまあ本当に便利なのです。以下、現在私が把握している限りでのビルダー道具です。特にリフォームコテはとても使い勝手が良く、使うと謎の快感に襲われます。
- ハンマー
硬い素材を壊すことができます。初めは壊せない素材もハンマーをアップグレードすることで壊せるようになります。
- かわきのつぼ
水を汲んで干上がらせることができます。また、汲んだ水を好きな場所に無限に放出することもできます。
- グローブ
物を壊さずに持て、方向も変えられます。
- リフォームコテ
ブロックのまとめ置きや、既に置いてあるブロックを別のブロックに置換することができます。成形しやすい砂などの素材でいったん建物の形を作り、本番の素材に置換して完成、なんてことが可能です。
錬金術のように素材自体が変化するわけではなく、あくまで自分の持っている素材で置き換える点にご注意ください。
- カッター
ブロックを半分・斜め・凹形に切ることができ、より細かい表現が可能になります。
- ビルダーペンシル
任意の建物の設計図を作ることができます。自分の拠点の建物を別の場所にコピペするときや、他のプレイヤーさんの建物を真似したいときに便利です。
(参考:公式サイト-世界観-進化したモノづくり②、公式サイト-世界観-進化したモノづくり⑤、公式サイト-世界観-けいじばん)
クエストがたくさん設定されている
特にからっぽ島の開拓において顕著ですが、プレイヤーがどこに何を作るかに関しては、ストーリー上のクエストや前述の「かいたくレシピ」である程度指定されます。これらのクエストに沿ってビルドを進めることで、誰でもそれなりの景観を作り出すことができます。サンドボックス型のゲームに慣れていない方や、ストーリーやキャラ重視でビルド要素にさほど興味のない方には程良い手ごたえを感じられる仕組みになっています。
私は「かいたくレシピ」があって助かりました。ビルダーズ1、特にフリービルドにおいては、どこに何を作るかを全部自分で考えなければならず、プレイヤー自身のセンスが問われました。その結果、私の拠点は飾り気のない豆腐だらけになってしまい、落胆することが多かったのです。
自由に作りたい方にとっては苦痛かも?
しかし、制約なく自由にビルドしたい方にとってはかえって枷になってしまうかもしれません。特にからっぽ島では「かいたくレシピ」を達成しないとビルダー道具が手に入らないので達成しないわけにいかず、大きなストレスになってしまう恐れがあります。もちろん、一度クエストを達成すれば後は壊すなり活用するなり好きにできますが、わざわざ作ること自体を面倒に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
巨大建築物を作るクエストの是非
中でも好き嫌いが分かれると思われるのが、ストーリーと連動して何度か発生する、特定の場所に特定の巨大建築物を作るクエストです。建築自体はほぼNPCがやってくれるので手間はかかりません。
私は、ストーリーで必要になってNPCたちが一生懸命作ってくれるものゆえに愛着が湧き、この建築物をどう活用しようかと考えるのが楽しかったです。自分の腕では作れないハイレベルな建物ばかりですから。
一方で、これらの建築物はかなり場所を取りますし、それ以前に同じ場所に自分で作っていた建物は壊される(あるいは自主的に別の場所に移動させる)ことになります。他のクエストで作る建物と同様、クエストを達成した後で壊すこともできますが、やはり完全にご自身の自由に作りたい方は苦痛に感じる可能性が高いでしょう。
ドラクエビルダーズシリーズは「ブロックメイクRPG」を標榜しているところから考えても、従来のサンドボックス型ゲームとRPGのいいとこどりをした新たなジャンルを開拓しようという意図が窺えます。ビルダーズ2はその傾向がより強まったゲームで、RPG的ないわゆる「おつかい」要素が多いです。そのため、他のサンドボックス型ゲームのような自由度を求めると肩透かしを食らうことと思います。
なお、作った物をいつか壊されるのではないかと心配な方は、それっぽい物が置いてあったり怪しげなスペースがあったりするところには建物を作らないことをおすすめします。例外として、鐘の周りは大丈夫です。
システム
システムは、快適になったと思うところと、そうでもないところがあります。ボタンひとつで素材を「ふくろ」から出し入れできるのが爽快
ビルダーズ1では、素材を「大倉庫」にしまったり取り出したりするとき、いちいちメニューを開いて「もちもの」を選択しないといけませんでした。ビルダーズ2では、十字キーの下を押すことで、今カーソルを合わせている素材を「ふくろ」(大倉庫と同じ役割を果たす、ドラクエファンおなじみの四次元ポケット)に簡単にしまうことができます。また、十字キーの上を押すことで、ふくろの操作画面を簡単に呼び出すことができます。
地味にすごく快適です。あのひと手間は意外とストレスになってたんだなあと思った次第です。十字キーの下で持ち物を一気にふくろに入れるのが爽快でたまりません。
進行不能バグが複数存在(修正パッチで解決可能)
私は出くわしていないため存在を実感できていませんが、いくつか進行不能バグがあるようです。どうやら、まだやれと言われていないことをやったり、行けと言われていないところに行ったりと、フラグが立っていないことを先回りしてやると発生することが多い模様。
何度か修正パッチがリリースされて、深刻なバグは修正されたようです。修正パッチの詳細を知りたい方は下記サイトをご確認ください。
ビルダーズ2を既にご購入されている方やこれからご購入される方で、普段インターネットに接続して遊んでいない方は、一度接続してください。インターネットに接続しないとソフトに修正パッチが適用されません。
既に進行不能バグが発生している方は、修正パッチを適用したうえで特定の操作をしなければならない可能性があります。上記サイトの記載をご確認ください。上記サイトに記載されているバグで進行不能になっている場合、データを消して最初からやり直す必要はありません。
また、進行不能になった、バグかもしれないと思ったら、一度上記サイトのよくあるご質問を確認、および、ネットで症状について検索してみてください。バグではなく、条件を満たしていないだけの可能性があります。
ビルドや移動範囲の自由度はきわめて高いのに一本道のストーリーがあるからフラグ管理が大変なのは分かるし、ちょっとしたバグがあっても仕方ないとは思います。しかし、ゲーム自体が進行不能になるバグに関しては、これからも出てきたら速やかに撲滅されることを願います。バグを恐れて言われたことしかできないのはつまらないので。
Switch版は動作が若干不安定
私はNintendo Switchで携帯プレイしています。松明や噴水などの動きのあるものをかなり大量に設置すると、動きが遅くなることがあります。うわぁ、これフリーズしそう、と思うレベルのガクガクも数回ありましたが、今のところ幸いフリーズまでは至っていません。もちろん、そんなに凝ったものを作っていなければ、動作は全く問題ありません。
まあこれはSwitchの宿命かなと思います。PCやPS4などとのマルチプラットフォームで出ているゲームはそちらのスペックに無理に合わせているから動作が遅くなるのではないでしょうか。
Switch版で動きの多いものを作る場合、セーブはこまめに取った方がよいかもしれません。
PS4は持っていないので比較することができませんが、描画速度(フレームレート)が高いので、Switchに比べると安定した動作が期待できると思います。
まとめ
以上、簡単にまとめると以下の通りです。- ストーリー
世界観が良い。後半が面白い。ボリューム満点。 - ビルド
ビルダーズ1よりも建材や道具が大幅に充実。ただし、特にクリア前までは、従来のサンドボックス型ゲームおよびビルダーズ1よりも制約が多い。 - システム
便利になったところもあれば不便なところもある。進行不能バグに遭遇しなければ便利さの方が勝る。
ストーリー重視の方、ストーリーもビルドも楽しみたい方にはおすすめです。逆に、ビルドだけ楽しみたい方のニーズには合わないかもしれません。
レビューは以上です! 最後までお読みくださり、ありがとうございました。
他にもドラクエ作品のレビュー・感想をいくつか書いています。よろしければ下記の「関連記事一覧」よりご覧ください!
※この文章は、赤城みみる(Twitter ID i14wander、はてなブログID i14wander)により執筆され、赤城みみるの所有するブログ「星を匿す雲」(http://cqs4live.hateblo.jp/)(http://cqs4live.hateblo.jp/archive)に掲載されているものです。著作権法32条で定められた要件を満たさず行われる転載は、著作権法21条に違反します。
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