皆様こんにちは。赤城です。
『ゴールデンカムイ』1巻の感想を書きました。
記事を書いている時点で、14巻まで読了済みです。改めて読み直して感想を書いています。したがって、14巻までの軽微なネタバレありです。ご注意ください。
※他の巻の感想はページ下部の「関連記事一覧」からご覧いただけます。
ブログに感想を書き始めた理由
きっかけはアニメ化でテンションが上がったことでした。さらに、アニメ放映中に発売された14巻で、とある事件が起こりました。しかしこれまでノリと勢いだけで読んできた私、目が節穴すぎてどうしてそんなことになったのか皆目見当がつきません。
そこで、その事件の経緯を把握するため、また、今後起こるであろう更なる事件に備えるために、登場人物の心情をきちんと理解しておきたいと思いました。
そのついでに、今までさんざん爆笑してきた秀逸なギャグを思う存分褒め称えたいと考えました。
まあ、考えるのがあまり得意ではないので、ほぼ顔芸・変態観察ログと化しそうですけどね!
1巻の感想
気になった場面や台詞を箇条書きにしてコメントを付けていく形式です。第1話 不死身の杉元
- 主人公らしき青年がいきなり撃たれる
連載開始してわずか3ページ目で頸動脈あたりをぶち抜かれてて大丈夫か? と思った記憶があります。ここで咄嗟に「あっ、俺もうダメだ……」と考えてしまうと本当にダメになっちゃうんじゃないでしょうか。杉元はそこで諦めないから強いんです、たぶん。
- 青年の名は杉元佐一
改めて見ると杉元って男前だわ~。でも1話時点だと、まだ二重瞼の端が吊り上がってないですね(えっ、何それ? と思った方は2巻16話あたりからの杉元をご確認ください)。こういう作画の細かい違いを見つけるの楽しいなあ。
- 気に入らない上官を半殺しにした杉元
初見時は「へ~そうなんだ、短気なんだなこの人」と読み飛ばしていた部分ですが。杉元は頭に血が昇りやすい性格だけど、簡単に手を上げるような人間じゃないですよね。寅次や他の死んだ戦友を悪く言われたか、よほど意地悪をされたかのどちらかかな。なんかスピンオフ作れそうw
- 杉元
試してみるかい 俺が不死身かどうか
相手が一瞬ひるむことを見越して自分の胸に銃を押し付けるとかいきなり強キャラすぎるでしょ。
- 土饅頭になった後藤
うおおおお、石狩沼田幌新事件的なやつだ!!ヒグマの食害事件の記録って面白くないですか? 圧倒的な力に蹂躙されながらも立ち向かっていく姿が美しいと思うのです。……なんか私、辺見ちゃんっぽいかなぁ(笑)。
- 後藤の刺青の漢字
音、元、仏、青、願、記、面、紋、貝、姿。なんの意味があるのでしょう。他の刺青に入っている同じ漢字と重ねていくと刺青人皮が地図になるとか?
- アイヌの少女アシリパ登場
窮地に陥った主人公を毒矢で救出し、ヒグマを解体し、アドバイスをくれる。強い。杉元と並ぶ2人目の主人公であるアシリパさんに相応しい登場の仕方です。14巻あたりと比べると頭身高めでかなり大人っぽいです。描いてるうちに色々変わってくるんですね。
第2話 ウェンカムイ
- アシリパ
「シタッ」を拾え!
杉元え? なにを?
シリアスな状況にもかかわらず杉元が若干トボけた返しをするあたり、この後の怒涛のギャグ展開の片鱗が伺えます。
- 杉元
殺してみろッ 俺は不死身の杉元だ
「不死身の杉元」というキャラが読者に明確に印象付けられるシーン。かっこいい!!
- 5年前の事件
アイヌの男たちは「金塊の隠し場所を移動させているときに殺されたらしい」とな。
それが本当なら、殺した者は金塊の隠し場所を知っているはずで、つまりは金塊の隠し場所を知っている者=アイヌ殺害の犯人だと思うんだけど……? 14巻を読んでいると、「ムムム?」となりますね。
- 刺青人皮のために手を組む杉元とアシリパ
この時は、単純に利害が一致したから協力することになったんですよね。
ここからずっと2人が仲良くなっていくところを見てきた身としては、感慨深いです。
第3話 罠
- 杉元とアシリパの「リスが好き」
杉元のなんとも言えないビミョーな顔が面白い。アシリパさん、「好き」の意味が違うw
- 杉元
かかった! まずは一匹目!
早速リスの罠を応用したクレバーな作戦に出た! しかもリスが罠にかかってるコマも入れて巧く対比させている!このあたりから「もしかしてこの漫画、大当たりなのでは?」と思い始めました。
第4話 のっぺら坊
- 脱獄後、囚人が殺し合いを始めた
ふむ。その殺し合いで既に何名かは死亡しているということでしょうか? それとも未遂に終わったのでしょうか?
- 刺青を模写するアシリパ
なるほど、これなら皮を剥がずに済みますね。刺青の囚人を捕まえるたびに杉元がSATUGAIして皮を剥ぎ、どんどん人でなしになっていく漫画なのかと思って若干怖気づいていたけど、安心しました。
- 鉛筆うにゃうにゃうにゃ
2人ともいい顔してる。アシリパさんがくわってなってるのは蛇みたいに見えるからかな?
- 名前の分からない男の刺青の漢字
希、完、吐、関、帯、塊、(1字判読不能)。
顔出しもしてるのに名前分からないの可哀相だなw なんか伏線になってたり……するわけないか。
- モブ兵士(尾形)登場
顔が14巻あたりと全然違う! 完全なるモブ顔だ!(笑) しかも目に光が入ってる!!いや~、まさか初見時はこのモブ顔の人がああいうふうになるとは全く予想していませんでした。
第5話 北鎮部隊
- 初期の尾形の造形
初期の尾形はモブ顔だけどイケメンです。特に第5話の3ページ目はベストショット。皆の者、刮目せよ。再登場してからはどちらかというとかわいい系の顔になっていると思います。
- 結構あっさりやられるモブ兵士(尾形)
この容赦のないやられっぷり(後ろから銃で打撃、すごくかっこ悪い体勢で川に落ちる、凍傷で顔ぷっくり)で初見時は完全に噛ませ役認定してたなあ(笑)。ごめんね尾形。
- リスの脳みそを食べる杉元
ここから俺たちの伝説は始まった……! レッツ変顔カーニバル!
アシリパさんはちょっとした妖怪と化してるし、杉元も絶妙にリアリティ溢れる表情になってる。最高。
- 「チタタプ」「ヒンナ」初登場
これ以降のアシリパさんと杉元の関係性を象徴するキーワードです。人間、仲良くなるにはやっぱりご飯を一緒に食べるのが一番ですよね。
- ??
どうして尾形上等兵は単独行動していたのだ?
ここで初めてさっきのモブ兵士の名前が分かる。この時点で既に伏線は張られていたんですね。
師団について
私は軍隊関連に全く詳しくないので、第七師団とか北鎮部隊とか言われても「???」って感じでした。そこで、例によって伝家の宝刀、某百科事典様でちょっと調べてみました。別にどーでもいいわ! という方は次の項目へ進んでください。長いので。
大日本帝国陸軍は、日中戦争開戦以前までは、天皇直属の師団が軍隊の中で最大の単位でした。1師団の人数は、一般に6千人~2万人です。
陸軍には、太平洋戦争が終戦するまでに、通常の師団が171個できていました。すごい数ですね。ただ、そのうちの半分くらいは太平洋戦争末期に急遽作られたもので、人数が足りていない師団も多かったらしいです。
ゴールデンカムイの時期(日露戦争終戦直後)には、第十六師団までが存在していました。近衛師団も含めると、計19師団あったようです。ちなみに、師団の番号は作られた順みたいです。
このうち第一師団が杉元や寅次、賢吉が所属していた師団で、第七師団が鶴見や尾形、谷垣が所属する師団です。
第一師団は、日本で最も古い師団の一つです。東京近郊の警備が主な任務で、日露戦争を含むいくつかの戦役にも参加しています。
第一師団を構成している歩兵連隊は、1888年の創設時点では第一連隊(編成地:東京)、第二連隊(佐倉)、第三連隊(東京)、第十五連隊(高崎)です。ゴールデンカムイの時期にどうなっていたかは定かではありませんが、もしそのままだったとすれば、杉元と寅次は、東京、千葉、群馬のいずれかの出身かもしれません。私は群馬県民なのでちょっと嬉しくなってしまいました。
第七師団は、北海道の屯田兵を母体として作られました。北海道の人だけでは師団としての人数が足りないので、東北出身の人も加入していました。史実では、日露戦争中の師団長は、当然ですが花沢ではありません。
なお、鶴見たちが所属しているのは第27聨隊ですが、この隊については某百科事典程度では詳しいことは分かりませんでした。野田先生のひいおじいさまがいらした隊ですね。野田先生がご自身のブログに少し書いていらっしゃいます。
とりあえず今回調べたのはこのくらいです。それにしても、これだけ大規模な組織が太平洋戦争後にパッとなくなってしまったなんて、なんだか不思議な気持ちになります。
(参考:大日本帝国陸軍の軍の一覧 - Wikipedia、師団 - Wikipedia、大日本帝国陸軍師団一覧 - Wikipedia、第1師団 (日本軍) - Wikipedia、第7師団 (日本軍) - Wikipedia、歩兵第27連隊 - Wikipedia)
第6話 迫害
- 白石由竹登場
初めはアシリパさんのこと「飼いイヌ」とか言うからちょっとイヤなヤツかなと思って、後藤のおっさんたちと同じようにこいつも死ぬだろうと考えていたけど、どっこい全然死ななかった。「飼いイヌ」発言は、半分は本音で、もう半分は杉元を挑発して彼の追及を止めるためでしょう。アイヌのことをよく知らない白石にさほど悪気はなかったようにみえますが、杉元の地雷を踏んだようです。
杉元がこんなに怒るのは、この時点で既にアシリパさんに対してある程度入れ込んでいて、彼女の境遇を自分と重ねているためだと思います。後の巻でもたびたび「やさしい」と評されていますから、本来はとても情に厚い性格なのかもしれませんね。
- 白石の刺青の漢字
弐、谷、岡、運、凍?。
- 「迫害」された過去を思い出す杉元
もしかしたら、梅ちゃんは杉元のことを相当待っていたのではないでしょうか。たぶん、杉元が自ら定めていた2年という期限ぎりぎりまで。しかし杉元が村に向かおうとしていたまさにそのとき、とうとう親や寅次に押し切られて結婚してしまった。杉元はほんの一歩遅かったのです。梅ちゃんの白無垢姿を遠くから見守る杉元、嬉しそうなのにどこか虚ろ。切ない。この場面、結婚式があることを誰かから聞いてこっそりお祝いに来たのかなとも思いました。しかし、杉元は地元と縁を切っている方が自然だと考えた結果、このような解釈になりました。
- ウサギ捕りに夢中になる2人
おいおい、不用心すぎるだろww アシリパさん、いい雄たけびと笑顔w
第7話 脱獄王
- アシリパ
はやくウサギ食べたいのに
杉元の心配よりもメシの心配をするアシリパさんなのでした。
- 杉元と白石、決死の取引~火を熾す
ここも地味に変顔祭りになってて楽しい。
- 囚人たちの親玉は土方歳三
土方歳三が箱館戦争を生き延びていたなんて、なかなか滾る設定じゃないですか。しかも渋イケジジイになって帰ってくるなんて。私のイケジジイセンサーが火を噴くぜ!
- 鶴見登場
初見では見た目がすごく怖かったです。目が死んでるし、顔面に何が起こってるのかちょっとよく分からないしで。
全体を通しての感想
箇条書きで拾いきれなかったことやちょっとした考察などを書いていきます。ゴールデンカムイの特徴
ゴールデンカムイを織物に例えると、金塊争奪戦が縦糸で、北海道の自然・文化紹介が横糸になっていると思います。濃すぎるキャラたちが繰り広げる金塊争奪戦ももちろん面白いです。が、合間合間に北海道の自然・文化の話を詰め込んでくれるのがとても嬉しいのです。しかも、それらがちゃんとメインのストーリーに巧みに絡められていて、北海道でなければ、アイヌがいなければ話が成り立たなくなっているところが素晴らしい。
私はこの横糸の存在を勉強になるからとか為になるからとかいうクソ真面目な理由で持ち上げるつもりはありません。単純に、馴染みのない文化のことを知るのは楽しいし、細やかな描写を入れることによってストーリーの深みが増して一層読みごたえが出るじゃないですか。
改めて、読者を圧倒的に惹きつける力を持っている漫画だと思いました。特に、歴史・民俗絡みのコンテンツが好きな人には訴求力が高いのではないでしょうか。かく言う私もその一人ですが。
まだギャグは控えめ
1巻は後の巻に比べるとギャグ要素が少ないため、以前はちょっと薄味で物足りないと思っていました。ギャグが少ないと感じるのは、序盤ゆえに世界観と主要キャラの紹介にかなりのページを割いているのと、脱獄囚と第七師団を中心とするイカれたメンバーが出てきていないためです。この巻のゲストキャラである後藤のおっさんと名前の分からない人は常識人すぎるんですよ。
しかし、よく考えると、杉元やアシリパさんの生い立ちや性格も分からないうちから二階堂や辺見みたいな濃い脇キャラを出されたら、彼らの存在が霞んでしまいますよね。したがって、主要キャラを読者に印象づけるためには、序盤はむしろこのくらいの薄さがベストなのかもしれません。この漫画は、そういう匙加減も巧いと思います。
宿命の出会いを果たす1巻
ここだけがっつり14巻の致命的なネタバレになるので、読みたくない方はあとがきまで飛んでください。前の項でも少し言及しましたが、一般に、物語の序盤というのは世界観の説明に加え登場人物紹介を行うパートです。そして重要な登場人物は、その中でも最初の方で出てくるのが世の常です。あ、いや、異論は認めますよエラソーなこと言ってすみません許してください。
さて、そこで私、1巻で初登場する主要キャラをピックアップしてみました。すると。
- 1話:杉元、アシリパさん
- 4話:尾形
- 6話:白石
- 7話:土方、鶴見
な、なんと、主要キャラの中で尾形が3番目に登場しています!
いや~、これはね~。14巻の尾形の杉元ポジション(仮)へのランクアップを思うと、「この時、運命の歯車は既に廻り始めていたのだ」とかナレーション付けたくなるよね。
白石は6話で杉元と仲良くなるから重要なキャラだということがすごく分かりやすいけど、尾形は初登場時モブと区別がつかないから余計びっくりしましたよ。でも順番から考えると、ゴールデンカムイの中で尾形は白石以上に重要な役割を果たすのでは!? と私は思っています。果たしてどうなるのでしょうか。
感想は以上です! 最後までお読みくださりありがとうございました。
2巻の感想はこちらの記事に書きました。
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- 北海道旅行の感想記事一覧
北海道旅行の記録です。ゴールデンカムイの聖地巡礼だったりそうじゃなかったりします。
とりあえず網走監獄には聖地巡礼してきました。
阿寒湖にも行きました(時期的には連載で阿寒湖が出てくる前ですが)。
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ひたすら歴史漫画を紹介しています! 全部で25作品くらい。もちろんゴールデンカムイのことも書いています。 - 漫画『進撃の巨人』の感想記事一覧
ヤンマガの雄、『進撃の巨人』の感想も書いています。
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※この文章は、赤城みみる(Twitter ID i14wander、はてなブログID i14wander)により執筆され、赤城みみるの所有するブログ「星を匿す雲」(http://cqs4live.hateblo.jp/)(http://cqs4live.hateblo.jp/archive)に掲載されているものです。著作権法32条で定められた要件を満たさず行われる転載は、著作権法21条に違反します。
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